無敵モード
問題に直面するのは苦しいことである。しかし、問題が全くないとそれはそれでつまらない。
コンピュータのアクションゲームではよく「無敵」モードが存在する。テレビゲームの草分け的な役割を果たしたパックマンやマリオブラザーズ、他にも戦闘機を操作するようなゲームの多くでそういったモードが存在した。何か特別なアイテムを獲得すると、たとえば無敵の実のようなものを食べると、自分の操作するキャラクターや戦闘機が一定の時間どんなに攻撃を受けても全くダメージを受けない状態になる。ゲームをやっているとこれは気持ちがいい。敵の攻撃をよけるストレスから解放され、画面上を好きなように動き回ることができる。他のアイテムも取り放題だ。だから、「無敵」になるためのアイテムは一生懸命取りにいくし、できるだけ長い間「無敵」になっていようとする。
しかし、当たり前のことだが、ずっと「無敵」であることはつまらない。パックマンのゲームで敵にぶつかっても何ともなくて、ただひたすら餌を食べ続けるだけだったらどんなに退屈だろうか。自分がダメージを受ける心配のないアクションゲームなど面白いわけがない。
映画、TVドラマ、小説でも多くの場合、主人公に障害となるようなことが次々と起こる。主人公に感情移入して観たり、読んだりしていると何とか主人公に障害を撥ね退けて成功してほしいと願うようになる。主人公が困難に打ち克ってこそ感動を呼べるのだ。はじめから終わりまですべてがうまく進むようなストーリーでは観る人や読む人を夢中にさせることはできないだろう。面白いプロットを考えようとすると強い敵、悪者、意地悪な人、不慮の災難・事故、等の障害が必要になる。
幸か不幸か世の中の問題はいつまでたってもなくなりそうにない。考えるだけでもうんざりしそうな問題もたくさんある。しかし、どうせ難しい問題に取り組むのであれば、その難しさを楽しみたい。落ちているえさをただひたすら食べ続ける「無敵」のパックマンの人生より解決すべき問題のある人生の方がよほど楽しい。
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洋々代表。日本アイ・ビー・エム株式会社にて、海外のエンジニアに対する技術支援を行う。その後、eラーニングを中心とした教材開発に、コンテンツ・システムの両面から携わる。 東京大学工学部電子情報工学科卒。ロンドンビジネススクール経営学修士(MBA)。