学習や教育を取り巻く環境の変化 2019


迷走する大学入試改革
今年の教育や学びに関連する話題として真っ先に挙がるのはやはり大学入試改革の迷走だろう。英語民間試験活用について、元々反対する意見も多い中、6月には一旦日程や方針が固まり、共通IDを11月から発行する手筈も整っていたが、文部科学大臣の不適切な発言が引き金になり、11月1日に急遽「大学入試英語成績提供システム」の導入見送りが決まった。その影響でもう一つの目玉であった、大学入学共通テストにおける国語と数学の記述式問題の採用についても雲行きが怪しくなり、こちらも今月ついに見送りが正式に決まった。5年前に中央教育審議会が掲げた新テスト案が各方面からの反対でどんどん骨抜きにされ、形にこだわって何とか最後まで形を残してきた2つの目玉もついになくなってしまった。大学入試英語成績提供システムも記述式も大学側が積極的に採用する感じではなかったので今回の見送り自体が大学受験にそこまで大きな影響を与えるとは思わないがこれだけ実施日に近づいた中での方針転換は不手際としか言いようがない。

EdTech
スマホやタブレットで学ぶサービスは国内でももはや目新しいものではないが、今年も新たなサービス開始の報道を少なからず目にした。YouTubeでの学習向け動画も予備校が出すオフィシャルなものも、いわゆるYoutuber的な人が作成しているものもこの1年間でだいぶ増えた印象がある。教育業界におけるAIブームも続いている。大手予備校とスタートアップが組むケースも目立ってきた。AIを使って生徒の解答を分析した上で一人一人に合わせて内容を変更するというように、すでに多くの受講生を持ちその学習データを蓄積してきた大手予備校とAI開発で先を行くスタートアップがお互いの強みを発揮しようと提携する動きだ。学習のビッグデータについては公教育においても活用しようとする動きがある。文部科学省は6月に「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策」として、教育ビッグデータ活用の実現に向けた2025年度までの工程表を発表した。ただ、海外ではテクノロジーを使った学びのサービスはさらに進んでいるように見える。インドの新興企業で学習アプリを提供するシンク・アンド・ラーン社の利用者は3500万人を超え、時価総額は6,500億円に達したという報道もあった。中国にもEdTechのユニコーン企業がいくつも存在する。その一つで子供向けのオンライン教育サービスを提供するVIPKIDは9月に新たな出資を受け、企業価値4,860億円に達したと報じられた。中国のネット大手網易(ネットイース)傘下で子供向けのAI分野などの教材事業をネット上で展開する「網易有道」は10月に米ニューヨーク証券取引所(NYSE)に上場した。

プログラミングと英語
2020年度に小学校でプログラミングが必修化されることに伴い、塾や通信教育でプログラミング教育を強化する動きがあった。また2020年度から正式教科化される英語についても小学生向けのサービスが増えている。教育大手がオンラインの英語講座を小学校に売り込む動きも加速しているようだ。大学入学共通テストにおける英語民間試験活用は失敗に終わったものの、小学校から高校まで英語の4技能の必要性の認識はむしろ高まっている。大学受験でも個々の大学の英語民間試験活用の動きは続いている。高校受験にもその動きは広がり都立高校入試では2022年度入試からスピーキングのテストを導入することになった。年間8万人の受験を見込んでおり、大学入学共通テストほどではないが小さくない規模である。民間の実施団体と公募して独自に開発したテストを使うとのことで滞りなく実施できれば大学入学共通テストにおける4技能試験採用のヒントになるかもしれない。


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洋々代表。日本アイ・ビー・エム株式会社にて、海外のエンジニアに対する技術支援を行う。その後、eラーニングを中心とした教材開発に、コンテンツ・システムの両面から携わる。 東京大学工学部電子情報工学科卒。ロンドンビジネススクール経営学修士(MBA)。