なぜよい志望理由書を書くのは難しいのか


ビジネススクールに留学する際に初めて自分のEssayなるものを作成したがどういう観点で評価されるかわからず書くのに苦労した。標準テストや英語の資格のように正解があるものは問題演習を行い、間違ったところを見直し少しずつ習得していく、ということを地道に繰り返せば確実にスコアが上がるので、そこまで難しく感じなかったが、Essayはどのようなものが高く評価されるかという基準さえ、自分で仮説を立てなければならず、方向に自信がないのに進んでいかなければいけない感覚があった。

受講生の志望理由書作成のサポートをするようになってから15年以上経ち、さすがに評価の基準のようなものはある程度持てるようになってはいるが今でもよい志望理由書づくりのサポートの難しさを日々感じる。

難しさの理由の一つは評価の基準が具体的にあるわけではないことにある。抽象度の高いレベルで、たとえば世界観(過去・現在・未来と大学での学び)を魅力的に表現できているか、志望大学学部とのマッチングが伝わっているか、というような基準を示すことができるが、具体的にどのような要素が入っていればその基準を満たすのか、といったことを示すのはケースバイケースで一般化することが難しい。全体的に知性を感じさせるような文章になっているかどうかも重要な要素ではあるが、足りないことに対する指摘はできても、知性の見せ方には様々な方法があり、これもやはりこうすればいいと示すことが簡単ではない。

難しさのもう一つの理由はオリジナリティが求められることだ。これまでの合格者と同じような内容だとつまらないと思われてしまう可能性がある。文章の構成や必要な要素等、その人の個性を失わない範囲で参考にできることもあるが、基本的にはゼロベースで自分ならではの書類を作成する方が面白い、と思ってもらえる可能性は高まる。自分自身のこれまでのこと、物事に対する見方や考え方、なぜ今その大学学部に行こうと思っているのか、大学卒業後どのようなことをやろうと思っているのか、を一貫した形で自分らしくまとめていく必要がある。多くの場合、今持っている材料だけだと十分にオリジナルで面白いものにならない。面白くなりそうなところを見つけてそれに関連する知識を増やし自分の考えを深めていく必要がある。ただ、それもどのように深めていけば面白くなるのか決まった方法があるわけではない。試行錯誤しながら探っていくしかない。

よい志望理由書の作成はかくのごとく難しいが、そのプロセスに付随する学びは大きく、大学受験という目的に関わらず挑戦する価値のあるもので、折角挑戦するのであれば時間をかけてじっくり取り組めるといい。


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