分解能
何かを知るということは自分の分解能を上げることだと思う。大辞林によれば分解能とは「器械装置などで物理量を測定・識別できる能力」のこと。
子供の頃はイギリスもアメリカも同じような国だと思っていた。インスタントラーメンとお店のラーメンの区別がつかなかった。スーパーとデパートの違いがわからなかった。それがいろいろ学んでいくにつれて段々と区別できるようになっていく。
将棋や囲碁でも上達するにしたがって各局面の微妙な差がわかるようになっていく。音楽の世界でも精通すれば微妙な音の違いがわかるようになる。歌を詠む人は一文字の重みを知るようになる。いずれも私のような素人には同じように見えたり聞こえたりするものがその道のプロにはまるで違うものと認識される。
子供の頃、難しいことはわからなくても、ウルトラマンの怪獣や鉄道車両の種類はすぐに見分けられた。そして知れば知るほどより深く興味をもった。分解能が上がり、違いがわかればわかるほど面白くなり、ますます知りたくなる。対象は昆虫であるかもしれないし、車であるかもしれないし、あるいは、アニメのキャラクターやアイドルグループかもしれない。大人が見分けることができない違いを子供が見分け、見分けることができると自分からさらなる知識を求める。
元々、興味があるから知りたくなるという面もあるが、知っているから興味をひかれてさらに知りたくなるという部分もある。本来楽しい「知る」ということが学校の勉強だとつまらなく感じてしまう理由の一つにある程度までの分解能を身につけることが難しいということがあるのかもしれない。そこまで知ればもっと知りたくなるというレベルまで到達しないうちに嫌になってしまう。顕微鏡の倍率をもう少しだけ上げれば、面白さがわかるのに、という勿体ないところで止まってしまう。
勉強というと何だか面倒なものに聞こえるが学ぶということ自体が本来とても楽しいもの。そして学べば学ぶほどさらにその対象を楽しめるようになる。最高の舌を持っていないと最高の料理が味わえず、最高の耳を持っていないと最高の音楽が響かないように、あることを最高に楽しむためには違いがわからなければいけない。分解能を上げるということは世の中を存分に楽しむことにつながる。
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洋々代表。日本アイ・ビー・エム株式会社にて、海外のエンジニアに対する技術支援を行う。その後、eラーニングを中心とした教材開発に、コンテンツ・システムの両面から携わる。 東京大学工学部電子情報工学科卒。ロンドンビジネススクール経営学修士(MBA)。