準備の大切さ


昨年末の就任以来、安倍首相が打ち出してきた政策、その意向を受けての日銀の金融政策は概ね好意的に受け入れられているようだ。これだけ日経平均株価が上昇すると国民のマインドも上向くだろう。大事なのはこの先であり、これからどうなるかは予断を許さないが今のところ順調といってよいのではないか。今回の安倍政権がいいスタートを切ることができた要因はいろいろある。自民党を厳しく批判することで政権を担う機会を得た民主党が結局自民党のやってきた以上のことをできずに終わってしまった今、説得力のある批判を展開できる人が少なくなり政権運営をしやすくなったこともその一つ。(その意味では3年間の民主党政権も「必要なプロセス」だったといえる。)しかし前回と最も大きく違うのは安倍首相の準備の周到さではないだろうか。

2006年に首相になったときも就任するだいぶ前から次期首相との呼び声が高く、自民党幹事長、内閣官房長官と要職を務めながら当然準備はしていたはずだ。しかし、結局リーダーシップを発揮できないまま1年で終わってしまったのは当時の風向きが今ほど自民党にとって有利でなかったこともあるが、安倍首相自身の準備が十分でなかったこともある。官房長官として首相の近くにいてもやはり実際なってみないとわからない重圧というものがあったのだろう。前回はそれを認識しない中での準備だったが、今回は前回の経験を活かして首相にかかる重圧を理解した上での準備ができているように見える。就任直後から打ち出している大胆な政策は野党でいる間に十分に時間をかけて練り上げてきたものであろう。

準備の大切さはいくら言っても言い過ぎることはない。小学生の頃から言われ続けてもなかなかきちんと準備できるようにならない。ぎりぎりにならないと必要性を感じることができなかったり、必要性を感じていても何をすべきかがわからなかったりする。いずれも未来の自分の状況を上手に想像するのが難しいということが原因だ。首相になるような人でさえ難しいのであればほとんどの人にとって簡単ではないはずだ。しかし、未来の自分の状況やそこで感じるであろうことを的確に想像し今の自分に対して十分なプレッシャーをかけないと、いい準備はできない。

一方でどんなに頭を絞って考えてみてもやはりやってみないとわからないということももちろん残る。飽きるくらいまで準備をすると後はそれを発揮するときが待ち遠しくなる。そこまで準備をして、時が訪れたら準備していたものをすべて出し、それでうまくいかなかったら、またの機会のために新たな準備を始めればいい。やれるだけのことをやって天命を待っているときほど晴れやかな気分でいられるときはない。


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