憲法96条の改正


憲法改正の議論が盛り上がってきた。今朝の読売新聞の記事によれば衆参両院の国会議員を対象とした調査で自民党の96%、日本維新の会の98%、みんなの党の96%の議員が憲法96条の改正に賛成だったという。安倍首相はまず憲法96条を改正することでその後の憲法改正のための条件緩和を目指している。

安倍首相は産経新聞によるインタビューで
「現行憲法はGHQがつくった」
「憲法を自分たちの手に取り戻したい」
という持論を展開している。現行の憲法では、衆参両院の3分の2以上の賛成の後、さらに、国民投票で半分以上の賛成が必要だが、議会より国民の判断に委ねるため、衆参両院の賛成は過半数というところまで緩和しよう、というのが安倍首相の主張だ。

確かに現行の日本国憲法は日本の国民が自分たちでつくったものとは言い難い。しかし、日本人は戦後、この憲法の下で平和で豊かな国を作り上げてきた。66年間、日本の平和と発展を見守ってきた憲法であるという事実を軽々しく考えるべきではない。現行憲法は産みの親ではないかもしれないが育ての親といってもよいのではないか。

ただ、憲法の内容を時代に合わせて変えることには反対しない。むしろ変えた方がいいと思う部分もある。変えるべきことは、衆参両院の3分の2の賛成を得た上で、国民投票での承認を得ることにより変えていけばいい。米国の合衆国憲法が時代に合わせて修正条項を加えながら、制定から200年以上も存続しているように、日本の憲法も少しずつ改正しながら、何百年も維持できるといい。しかし、こと96条の改正については慎重にならなければいけない。憲法改正のルールを変更することは憲法の一部を変えることとは次元が違う。今のルールだとなかなか改正できないから、少し条件を緩和しよう、というのは危険な話だ。最後に国民投票による承認のプロセスを残しておくから大丈夫だろう、という意見もあるが、過半数の国民の賛成というのは、そこまで決定的な要素ではない。49%の国民が反対しているかもしれないのだ。改正条件の変更については、通常の憲法改正以上に慎重でありたい。

自民党が今の勢いのまま夏の参議院選挙を迎え、多数の議席を取れば、憲法改正のプロセスが実際に始まるだろう。そうなれば初の国民投票が行われる可能性も十分ある。明日は日本国憲法発布から丸66年の憲法記念日。国民の間で、自国の憲法についての議論が深まるといい。


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