動的平衡


どこの国の政治を見てもなかなか安定しない。日本では早くも衆議院が解散したし、米国では今月初旬に行われた中間選挙で共和党が議会の上下両院で過半数の議席を確保し、民主党のオバマ大統領の立場はより一層苦しくなった。

しかし、見方を変えれば各政党が押し合いへし合いしているような状態こそが安定していると言えるのかもしれない。同じ国の中にもあらゆる考えの人がいて、個々の利害はもちろん一致しない。その様々な意見を持った国民の代表が国会議員であり、国会議員同士の意見がぶつかりあうのも当然だ。しかも国民一人一人の考え自体が安定せず、そのときによって揺れ動く。原発推進派が反対に回ったり、消費税増税に賛成と言っていた人がやっぱり反対する、ということはいくらでもあるだろう。無理やり安定させようとするとひずみが出てかえって不安定になる。揺れがそこまで大きくなければ、ときに右に寄ったり、あるいは左に寄ったり、流れに任せた方が大崩れしない。

生物学者の福岡伸一氏は「動的平衡」という概念を用いて生物を捉えている。生物の個体は安定しているようで実は分子レベルではどんどん入れ替わっていく。人間も半年あるいは1年経つと元々体を構成していた分子は外部から採り入れたものにほとんどすべて入れ替わるそうだ。自分の体を構成する分子のほとんどが1年前には自分の中になかったと考えるのは不思議な感じがするが、そういった入れ替えをすることで安定を保っているのかもしれない。

安定というと静的で変化のない状態を思い浮かべがちだが、動的で新陳代謝の盛んな方が実は安定する。政治家をどんどん入れ替えた方が政治が安定する、とは必ずしも思わないが、国民一人一人がそれぞれの意見を持ち、その国民を代表する国会議員が活発に意見を言い合って、ぎりぎりのところで妥協する、ということをしていれば全体で平衡状態を保つことができる。静かに見守るよりも皆で参加する方が安定すると思うのだ。

今度の選挙も多くの人が参加してワイワイガヤガヤやりながら意見をぶつけ合うことができれば動的平衡で健全な状態が保たれる。不要な解散のために行う選挙ではあるが折角やるからには皆で参加して意義のあるものにしたい。


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