大義なき解散


年内の衆議院の解散・総選挙が取り沙汰されている。報道によれば来週にも解散を決定し、12月に衆議院選挙を行う方向で話が進んでいるという。消費税の10%への引き上げの延期について国民の信を問うという建前だが正直なところあまり賛成できない。2015年10月に予定されていた消費税10%への引き上げは当初から景気の動向をみて判断するということになっていたし、それを多少延期するからといって国民が強く反発するとも思えず、わざわざ信を問うほどのことではない。

そう考えると、もし今回衆議院が解散されるとすればそれは国民のためではなく自民党のためではないかと邪推したくなる。前回2012年の選挙での大勝から2年経ち、安倍内閣の勢いに陰りが見えるのは確かだ。今年9月に行った内閣改造も鮮度が落ちてきたことを自覚して行ったものだろう。その内閣改造も1ヶ月後にはリフレッシュの目玉であった女性閣僚2名が辞任に追い込まれ、また新たな1手が必要になったというところか。

歴代の内閣を見ていると発足時の支持率が最も高く、時間が経つにつれて下がっていくというパターンが多い。現安倍内閣は発足から2年経った今でもある程度の支持率を保っているが発足当時に比べればやはり下がっている。このまま衆議院の任期が終了するまでの2年間、支持率が下がるのを手を拱いて待つよりも、今解散して一旦ブーストするというのはゲームの打ち手として正しいようにも見える。解散というカードを切るとすれば内閣に対する不満がたまりつつも支持率をある程度保っている今しかないのかもしれない。

しかし、一時的にブーストされたとしても、自民党のパフォーマンス的なところが透けて見えると国民はそっぽを向いて、その後の支持率の低下のスピードが速くなる可能性もある。それよりは仮に政権の新鮮さがなくなり支持率が徐々に下がっていったとしても地道に4年間、国のためにやれるだけのことをやっていく方がいい。その方が結局は2年後の支持につながり、政権の長期化にもつながるのではないか。

普段は批判のための批判をしているように見えることの多い野党だが、今回ばかりは与党に対する「身勝手な大義なき解散」という批判は当たっている。


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