大きいといえば大きいし小さいといえば小さい


象は大きくて鼠は小さい。人間から見ての話だ。蟻は鼠よりさらに小さいし、プランクトンは蟻よりさらに小さい。プランクトンと一言で言ってもミジンコのように1mmくらいの大きさのあるものもあれば、植物プランクトンの中には0.01mmくらいしかないものもある。プランクトンの大きさなど普段はあまり気にしないし、とても小さい生物くらいの認識しかないが、実はプランクトンと一括りに言ってもその中にも象と鼠くらい差がある。

今世界で警戒が強まっているエボラ出血熱はウィルスを病原体とする感染症だが、そのウィルスの大きさは幅80nmで長さが1000nm程度である。小さい植物プランクトンのさらに100分の1くらいの大きさだろうか。人間の大きさと比べるとウィルスは1000万分の1のオーダーだが、これは地球の大きさに対する人間の相対的な大きさに近い。地球規模の視点で考えると人間は、人間から見るウィルスのレベルの大きさになる。ちなみに十万光年の直径をもつ銀河系における地球の大きさの比率は人間に対するウィルスのレベルよりはるかに小さい。

当たり前のことだが大きい、小さいということは相対的なものでどこに視点を合わせるかで変わってくる。プランクトンに絞って見るとミジンコも大きな部類に入る。宇宙から見れば地球はとても小さい。だから、人間は大きいといえば大きいし、小さいといえば小さい。今自分にとって大きいと思っていることも実はそこまで大きくないかもしれないし、逆に小さいと思っていることも見方によっては大きいかもしれない。

世界の捉え方として個々の人間が自分を中心に考えるのは自然だ。他の動物もおそらくそういう捉え方をしていると思う。しかし人間はプランクトンのこともウィルスのことも知っているし、地球のことも銀河系のことも宇宙のことも知っている。普段の生活ではあまり意識しないが、電子顕微鏡でウィルスを見てその存在を認識することもできるし、宇宙の大きさを理解して、地球の小ささ、そして、人間の小ささを認識することもできる。自分の世界観を築いていく過程において、自分中心の視点で象は大きくて鼠は小さい、というような安定した見方をすることは必要なことだと思う。しかし、一旦そういう世界観を築いた後は、柔軟に視点を動かして、人間は大きいといえば大きいし、小さいといえば小さい、というように考えられるようになると、さらにロバストで、より安定した世界観を築けるようになる。


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