マニフェスト


昨日通常国会が始まり、野田首相が施政方針演説を行った。その内容を受けて、今朝の読売新聞の社説では、「財源すら不明確なマニフェストの実現」にこだわるのは得策ではなく、「改革のためにはマニフェストの撤回をためらうべきではない」としている。確かにマニフェストにこだわり過ぎる必要はない。しかし、あまりマニフェストから離れ過ぎるようだと折角始まったばかりのマニフェスト選挙の先行きは暗い。

おそらく2009年の選挙前で民主党が政権につく前のものだと思うが野田首相が街頭演説でマニフェストを守ることの大切さを訴えている映像がYouTubeでアクセスを集めており、今月アップされたばかりであるにも関わらず今日の時点で200,000アクセスを超えている。動画の中で、野田首相は、マニフェストに書かれたことをやること、マニフェストに書かれていないことはやらないことの重要さを説き、消費税増税に批判的である。この手のものは今までもよくあり、揚げ足を取るようであまり好きではないのだが、この動画については多くの人が見るのも悪くないと思った。新聞、雑誌、テレビによる揚げ足取りより、よほどまともでいい。

野田首相の施政方針演説の全文を読んだが内容は悪くない。福田元首相や麻生元首相の引用をしたところばかりが話題になっているようだが、全体的に理想に走り過ぎず現実的で、むしろ自民党などの野党と協力して是非実現してもらいたいと感じる内容が多い。これを選挙のときから主張していれば何も問題はなかった。しかし、選挙のときに調子のいいことを言っておきながら、実際には現実的な政策を取り、それで全く痛みがないと、一種のモラルハザードになってしまう。言っていることを変えると大きな痛みを伴うような仕組みがないとどの政党も選挙で都合のいいことばかり言い続けるだろう。喫緊の課題が溜まっているので自民党と協力してさっさと必要な法案を通してほしい、という気持ちはあるが、一方で、民意の反映されていない法案をすんなり通して、いいのかという気持ちもある。

折角「マニフェスト」という言葉が普及し、有権者がそれを意識して投票するようになってきたのに、各政党の実現に対する思いが弱い。前回の選挙のときのマニフェストは選挙用につくったもので確信犯的にそもそも実現するつもりがなかったのではないかと疑ってしまう。本来は、各党が「死ぬ気で実現する」マニフェストを作成し、それを元に国民が判断して投票するという形にしなければならない。そのためには、選挙時に言っていたことと違うことをやっているときには、大いに咎められなければならない。

その意味で上記のYouTubeの動画は大手マスコミに頼らない1つの手段だと思う。ただの揚げ足取りにならないように気をつける必要はあるが、選挙時に都合のいいことばかり言わないようにするための抑止力になる。マニフェスト選挙もまだ始まったばかり。少しずつでも進歩するよう間違ったところは正しく咎められなければいけない。


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