選挙に行こう


先日の衆議院解散に伴い、来月16日に第46回衆議院議員総選挙が行われる。

今まで国政、地方に関わらず選挙の投票には覚えている限りすべて参加してきたが、自分の一票が勝敗を左右したことは今まで一度もない。確率的におそらく今後もないだろう。それでも投票し続けるのはなぜか?

独立した一人の有権者としてみると全体の票数の数万分の一、数十万分の一にしか過ぎない一票を投じるという行為はあまり合理的とは言えない。時間をかけて各候補者のプロファイルや主張を確認した上で投票をする人を決めて、投票所で一票を投じてもそれが選挙の結果に直接影響する確率は0に近い。たとえば、寄付のようにどんなに少額で全体に占める割合が小さくても自分の寄付した額の分だけ実際に寄付される額が大きくなるのであればまだよい。自分の寄付する100円でワクチンを打てる子供が5人増えるかもしれないのだ。しかし、選挙の場合、勝敗に関係のない一票は何の意味も持たない。

それでもやはり各党・各候補者の主張を確認して、休みの日に投票所に向かうのは、自分はひとりの人間であるとともに社会を構成する要素でもあるからだ。アリストテレスが喝破したように人間は社会的な動物である。一人の人間は個体であると同時に家族、学校、会社、国などの集合体の一部なのだ。細胞が個体を構成するように、人間は社会を構成する。大人数で大きなものを運んでいるときに自分がいてもいなくても他の人の感じる重さが変わらないとしても自分も運びたい。よい演奏に対して皆で大きな拍手をしているときに自分が拍手をしてもしなくても演奏者に伝わる音の大きさが変わらないとしても自分も拍手をしたい。同様に自分の一票が勝敗に関係ないとしても自分も投票したい、と思うのは、自分が社会の構成員であるからだ。自分の行動一つでは意味をなさなくても全体で意味をなすことであればそこに価値を感じる。

もう一つの理由は民主主義が機能する世の中であってほしいという願いだ。自分の一票は選挙の勝敗には関係なくても投票率をほんのわずかながらも確実に上げる。また自分が投票することで自分の周りで投票に行こうと思う人がほんの少しくらいは増えるかもしれない。今の選挙制度には問題が数多くあるかもしれないが、普通の人が自分たちで国の政治の方向性を決めるという基本的な部分は守られている。これが今後も機能し続けるよう少しでも貢献したい。

有権者の皆様、12月16日は是非投票に行きましょう!


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