バッドルーザー


日本語の「負けず嫌い」を研究社の新和英中辞典で引くと”a bad loser”と出てくるがあまりしっくりこない。「負けず嫌い」にはネガティブな響きもあるがポジティブな意味も含んでいる。”bad loser”だとネガティブな意味しかない。マイクロソフトのビル・ゲイツやアマゾンのジェフ・ベゾスはかなりの負けず嫌いだが、彼らがbad loserというイメージはそこまでない(ないこともないけれど)。どちらかというと”competitive”という形容詞の方が負けず嫌いのイメージに合っているかもしれない。

結果を残している経営者やスポーツ選手を見ていると負けず嫌いの人が多い。経営者でもスポーツ選手でも負けず嫌いであることは成功するために不可欠なのかもしれない。負けても仕方がない、と思っていたら勝てるはずがない。負けたくないという気持ちがさらなる努力を積むためのモチベーションになる。

一方で負けたときにそれをしっかり受け止めることができれば、何が悪かったのかを分析して、さらなる改善につなげることができる。負けたくないという気持ちから簡単にあきらめないことは大事だが、どこかで負けを認めて切り替えることも必要になる。完全に負けているのに負けを素直に認めないとbad loserになってしまう。負けず嫌いであることは悪くないが、bad loserであることは自分にとっても周りにとってもよくないことの方が多い。

アメリカのマスコミ各社がバイデン元副大統領の勝利を報じる中、トランプ大統領はなかなか負けを認めようとしないようだ。もはやただの負けず嫌いではなくbad loserといってよい。世界中で民主主義への信頼が揺らぐ中、これまでリーダー的存在であったアメリカに頼らざるを得ない部分はまだまだ大きい。分断が進んでお互いの信頼関係がなくなると民主主義が機能しなくなってしまう。バイデン氏は勝利宣言のスピーチでも統合を呼びかけているが、その実現は簡単ではない。トランプ大統領は負けを認めないまでもスムーズな政権移行を妨げないようにしなければ民主主義への信頼がますます損なわれてしまう。うまくいかないことがあれば国民の意思によって修正が入る、しなやかな民主主義の形を見たい。


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