二大政党制


2009年の衆議院議員選挙で民主党が圧勝して政権交代を果たしたときにはいよいよ日本にも二大政党制が定着するのかと思ったが、2012年に自公連立政権が成立して以来、旧民主党を中心とする野党が離合集散を繰り返し、政権交代の受け皿としては安定感を欠く。今のままだと現政権に不満を持ったとしても政権を交代させることには不安を覚えるという人も少なくないのではないかと思う。アメリカやイギリスのように二大政党制が根付いていると野党の政権運営能力が論点になることはあまりなく、国民が現政権に不満を持つ場合は政権交代を実現しやすい。

そういう意味で安心して政権を任せられる2つの政党が存在することは望ましいように思っていたが、アメリカ国内の二極化の様子を見ていると必ずしもそうでもないような気がしてくる。状況に応じて柔軟に政権を選択するというよりは、2種類の全く異なる考え方に分断されてしまって票数で競い合っているだけの状態に見えてしまう。たとえば、アメリカ政府のコロナウィルス対策について、共和党支持者の76%がポジティブな評価をしている一方で、共和党支持者以外でポジティブな評価をする人は29%しかいない。また、トランプ支持者の89%がバイデン氏が大統領になると米国にとって長期的に害になると考えている一方で、バイデン支持者の90%もトランプ氏が大統領を続けることこそが長期的に害になると考えている(Pew Research Center記事)。TV等の既存メディアの分極化とSNSの普及によって、自分の信じるものだけを見るようになり二極化がさらに進んだとよく言われるが、確かにそういう面があるように思う。

敵味方に分かれて数で勝った方が負けた方のことを考えずに政治を進めることになると民主主義が危うくなる。すべての人が納得のできる政治を行うのは難しいかもしれないが、すべての人に配慮した政治を行うことは必要だ。そう考えると対立軸が曖昧で、保守とリベラルの明確な区別のない日本の政治も悪くないのではと思えてくる。与党が自分を支持してくれた人々ばかりに目を向けるのではなく、国民全体からの支持率に目を向けるのは健全だ。ポピュリズムに陥らないように気をつけなければいけないが、特定の団体やイデオロギーに寄り過ぎず、保守的な政策とリベラルな政策を織り交ぜながらそこそこの支持率を保ちつつ政治を進めていくことは、国民に2つの選択肢から選ぶことを強いるよりも民主主義の形として望ましいのかもしれない。


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