京大理学部特色入試で求める共通テストの得点は70%


京都大学が入学者選抜に女性募集枠を設定することを先月発表した。2026年度入試(現高2生が受ける入試)より従来からある特色入試に加える形で理学部で15名、工学部で24名、女子に限定して募集を行うという。女子枠には公平性の観点から賛否両論あるが、今の男子過多の状態をいびつな形と捉えるのであればそれをできるだけ早く修正するために定員の一定数を女子に割り当てるのは悪いことではないと思う。

ここで注目したいのは女子枠ではなく、試験の内容だ。工学部の女子枠は学校推薦型選抜で書類と共通テストで審査され、共通テストでは80%以上の得点が求められる。一方で理学部の女子枠は総合型選抜で物理学・数学入試と宇宙・地球惑星科学入試の2種類が実施されるがいずれも共通テストで求められるのは70%の得点である。それぞれ独自試験問題のサンプルも公開されていて、宇宙・地球惑星科学入試の方は記述の問題になっている。地学に関する以下の19個のワードの一つを選び、その現象の解説、その現象に関してこれまで勉強・体験してきたこと、その現象の面白いところ、についてそれぞれオンライン動画を作る体でナレーション原稿を600字で記述せよ、という問題だ。

ビッグバン,銀河,星の進化,太陽,惑星,月,オーロラ,台風,天気,気候変動, 海流,潮汐,地震,火山,マグマ,鉱物,地形,地層,化石
京都大学理学部 特色入試 宇宙・地球惑星科学入試(女性募集枠) サンプル問題より

宇宙・地球惑星科学入試においてはこの記述の問題が200点、口頭試問が100点、共通テストが1000点で合計1300点で審査するとあり、共通テストの割合が大きく、求める得点率を70%としつつも、実際にはその水準で合格するのは難しいかもしれない。とはいえ、指針として京大受験生にはかなり低く見えるであろう70%の数字を敢えて示していることは京大理学部の独自試験への自信を感じさせる。広く浅い知識より、特定の分野について深く考察する力の方を求める、ということだろう。実際のところ共通テストの得点率が7割でも8割でもこれから自然科学を究めていくポテンシャルにそこまでの差はないように思う。

京大理学部では2026年度から特色入試の一般枠も拡大し女子枠も合わせて37名を募集するとしている。理学部全体の募集人員が311名なので特色入試が占める割合が従来の3%から12%へと大幅に拡大する。特色入試においてはいずれも求める共通テストの得点を70%としており、京大理学部の入試の独自性が今後さらに高まっていきそうだ。


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