授業を味わうためのメモ


慶應義塾大学法学部のFIT入試という総合型選抜では模擬講義を受けた上でその内容を踏まえて論述する、という試験が課される。50分の講義中にはメモを取ることができ、講義後の論述中もそのメモを参照できるようになっている。試験後メモは論述の回答用紙とともに回収される。メモ自体が採点の対象になるかどうかは不明だが論述する上でメモが重要であるのは間違いない。論述のために与えられる時間は45分で字数制限はないが例年の合格者はおそらく1,000字以上は書いている。45分で1,000字以上書くとなると文章の構成に時間をかける余裕はあまりない。メモは文章の構成を考えたり、書きながら参照したりするために活用できるが、それ以上に講義の内容を理解するためのもの、という意味合いが強くなる。実は以前のFIT入試では、論述試験の前にメモが回収されていたこともある。その場合のメモの目的は講義を理解することに他ならない。そうなるとメモの書き方は後で読み返すために丁寧に整理して書くというよりは自分の頭を整理するために矢印や等号などの記号を使ったものになる。講義の内容を論述のときに思い出せるような工夫をするのではなく、後のことは考えずにその50分の中で完璧に理解することに全力を注ぐ。

よく考えたらこの講義の聴き方は別に論述試験のときだけに有効なわけではない。高校の授業でも講演を聴くときでも後で活かすためのノートをつけるのではなく、その場での理解に集中するためにメモを活用することで学びを深めることができる。もちろん言うは易しで毎回の授業でそこまで集中して聞くことは簡単ではない。集中して聴くことには多大なエネルギーが必要だ。自分の学生時代を振り返っても教室の雰囲気からして緊張感がまるでなく、そのような場で退屈そうな内容について独りその場で全部理解してやろう、と気合を入れて臨むのは簡単でないことは容易に想像がつく。ただ、そのくらい気合を入れて1日6時間の授業を聞けたら、あとはぼうっとして過ごしてもよいくらいの価値があるようにも思う。今振り返ると学生時代もっと1つ1つの授業を味わっておけばよかったと思う。これからも授業を通して学ぶことに多くの時間を注げる幸せな学生の皆さんは是非周りに流されず先生の退屈な話し方にも惑わされずメモも駆使しながらその場で最大限の学びを得ることにトライしてもらえればと思う。


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