向き不向き
小学生の頃、絵の上手な子が描く様子を見て自分には無理だと思ったり、ドッジボールの上手な子を見て自分とは絶対的な違いがあるように感じたりした覚えがある。小学生でも絵が上手、下手の差は大きいし、スポーツが得意な子とそうでない子の差は歴然としている。自分から見て明らかに差があるように感じ、大人も含めた周りも同じように言っていると、そこには持って生まれた才能の違いがあるように思ってしまう。しかし、今考えると小学生の時点でついている差はそこまで大きくないように思うし、才能の差でもないと思う。
小学生の時点であることに対してたとえば数十時間でも費やしていたら、それをほとんどやったことがない人と比べて圧倒的に上手、というポジションを築くことができる。他の子よりできると自分でそれが得意だと思って、ますます時間を費やすようになり差は広がる。費やした時間の差が数百時間、数千時間となってくると初めて追いつくのが難しい差になる。プロになるような人は子どもの頃から他の子に差をつけていたかもしれないが、その差自体は元々はわずかなもので、むしろ、その差があったために周りの子より努力を続けられたということの方が大きいだろう。
熟練したレベルに達するためには数万時間のトレーニングが必要になる。そう考えると初めの数十時間の差は誤差のようなものだ。にも拘らず、多くの子どもはそのようなわずかな差のために自分の能力を過小評価して苦手意識を持ってしまう。自分が他の人よりできると思いこむポジティブな勘違いであればよいが、小学生の時点で自分には才能がないという誤った認識を持つことはとても勿体ない。
小学生だけでなく、中学生でも高校生でも、そして大人であっても少しやってみてうまくいかないからやめてしまうことはよくある。すべてのプロセスに必要な数万時間のうちの数十時間でやめてしまうのはスタートから0.1%進んだところで諦めてしまうようなものだ。初めは全然だめでもそのまま適切な形で継続すれば熟練するに至る可能性の方が高いだろう。将棋棋士の羽生善治氏が言うように情熱を持って続けられるかどうかというところに才能の差があるのであって、初めから埋められない差がついているわけではない。自分の向き不向きの判断を急いでする必要はない。
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洋々代表。日本アイ・ビー・エム株式会社にて、海外のエンジニアに対する技術支援を行う。その後、eラーニングを中心とした教材開発に、コンテンツ・システムの両面から携わる。 東京大学工学部電子情報工学科卒。ロンドンビジネススクール経営学修士(MBA)。