大学入試センターの役割


高2の10月といえばそろそろ高校卒業後の進路を意識し始める時期だ。大学進学を考えている場合は志望校や学部について具体的に考え始める人も多くなる。現高2生は大学入試改革の初年度に当たるから例年以上にたくさん考えなければいけないことがある。その大学入試改革の内容が今一つ定まらない。当初の大胆な改革の構想からだいぶ変更の内容が縮小された感のある入試改革だが、その中で残った数少ない目玉である、大学入学共通テストにおける国語の記述式と英語外部検定の扱いに未だに不透明なところが残っている。

国語の記述式は今年8月にA~Eの5段階で評価されることが決まったが、これまでセンター利用入試を行ってきた大学でも国語の記述式の部分の採用を見送るところが少なくない。英語外部検定については元々一般入試でもAO推薦入試でも活用している大学が少なくなかったが、そういった大学でも今回新しく導入される大学入試英語成績提供システムは使用しないとしているところも多い。このシステムは共通IDの発行が来月から始まることになっているが、未だにどの程度活用されるか不明であり、先月には全国高等学校長協会から実施の延期と制度見直しを求める要望書が文部科学省に提出されている。

新しいことをしようとすると必ず反対の声は上がるし、多少のトラブルはつきものだ。とはいえ、今回の大学入試改革については本質でない部分の改変にコストをかけ過ぎているように感じる。学力の3要素を多面的・総合的に評価するという大学入試改革の方向性はとてもよいと思うのだが、問題はその実現方法にある。特に、大学入試センターで実施する試験と各大学学部で行う試験の分担がうまくできていないところが問題だ。前者は標準テストであり、50万人以上の受験者が想定されるが、後者は多くても1万人で100人に満たない試験も珍しくない。普通に考えると前者はある程度の水準を効率よく判定できる試験、後者は多少時間がかかっても1人1人の実力をより精確に測れる試験が望ましい。大学入学共通テストの記述式は効率と効果を同時に追求したいかにも中途半端なものになっており、それくらいであればむしろ一切なくして、実施したい大学学部があれば個別の試験で論述試験を実施するようにすればいい。英語外部4技能試験の活用についても大学入試センターが一括して取り纏める必要はなく、各資格・検定試験とCEFRとの対照表だけは参考として提示するにしても、後は各大学学部が好きなように活用するのでいい。大学入試センターで行うのは、まとめてやると効率がいいことだけで、後は方針を示した上で具体的なやり方は各大学学部に委ねる方が混乱も少ないし、改革も進むように思う。


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