大学受験と高校で学ぶこと
昨年、東洋大学が学力試験中心の学校推薦型選抜を12月に実施したことに対して高校側から批判が出て文部科学省からも指導が入ったという。以前、共通テストを複数回に亘って実施するという案が出たときも高校側からの反対で頓挫したと聞く。なぜ高校は大学受験、特に学力試験の前倒しに反対するのだろうか?
各種報道によれば高校3年生の授業や学校行事への影響が主な反対の理由になっているようだ。大学受験の時期が早まるとすべての範囲をカバーしないうちに試験を受けることになる、受験が終わったら高校の授業に身が入らなくなる、高3次の学校行事の実施も難しくなる、といったところだろうか。
学力試験の前倒しはどこまで高校生活に影響するのだろう? 9月に試験を実施した場合、高3の9月の時点で試験範囲を終えていない受験生はすでに全範囲を終えている受験生に比べて不利になるのは間違いない。ただ、2月に先延ばしにしてやっと全範囲が終了したとしても、9月にすでに範囲を終えていた受験生はさらにその先を行っているわけでむしろ差が広がるようにも思う。大学受験が早めに終わったら高校の授業に身が入らなくなるというのもそういう面もあるかもしれないがそれは学力試験を重視しない従来の年内入試でも同様だろう。受験のピークが分散すると学校行事の日程が組みにくくなるということもあるかもしれない。ただ、それも学力試験を課すかどうかにはあまり関係ないようにも思う。
そもそも文部科学省が進めてきた入試改革は学力以外の部分を重視してきた年内入試でも学力をしっかり評価する、という方向性だったと理解している。年内入試で学力をしっかり見ることは推奨するけど、学力だけになってしまうのはダメ、というのは、一貫性がないようにも思う。いっそのこと一般選抜、総合型選抜、学校推薦型選抜みたいな区分をやめて各大学で自由なタイミングで自由な内容で選抜したらよいのではと思う。
高校側も大学受験に囚われすぎずに授業を実施できるといい。高校で学ぶことはもちろん大学受験に役立つことではあるけれど高校は大学受験にある科目だけを学ぶべきところではないし、大学受験に役立つことだけをするところでもない。受験と関係なく様々な科目を学び、部活や行事を通して学業以外の部分でも成長を得られるような高校の方が入学希望者が増えるようになるといいのだけれど。
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洋々代表。日本アイ・ビー・エム株式会社にて、海外のエンジニアに対する技術支援を行う。その後、eラーニングを中心とした教材開発に、コンテンツ・システムの両面から携わる。 東京大学工学部電子情報工学科卒。ロンドンビジネススクール経営学修士(MBA)。