新しいものとすばらしいもの


ある本が今売れていると聞くとつい興味を惹かれる。その著者がこれまでに出してきた本の中にはもっといい本もあったかもしれないがまずは今ベストセラーになっている本に注目する。音楽でも今流行っている曲を聴くことが多い。もちろん自分の好きな曲は何年でも聴き続けるだろうが最近世に出た曲を聴く割合が高くなる。今の時代に生きるひとは今の時代の本を読み、今の時代の音楽を聴く。映画やTVドラマもそうだ。映画館で上映されているのは最近の映画がほとんどだ。NHKの朝ドラや大河ドラマは再放送もされているが今年初めて放送されているものに比べて視聴率は低いだろう。

これまで人類は無数の音楽を作曲し、無数のドラマ、映画を製作してきた。売れるものもあれば、ほとんど人に知られずに消えていくものもある。中には何世代にも亘って聞かれ続ける音楽もあるし、何度も再放送されるドラマや見続けられる映画もあるが、今流行っているものの多くはほんの数年後にはほとんど見向きもされなくなる。本でも音楽でもドラマでも映画でもすでに一生かけても味わい尽くせないほどの名作が世に出ているのになぜ新しいものにばかり目が向くのだろう?

新しい作品が好まれる理由はいくつかある。まず今の時勢に合ったものだからということがある。もしかしたら数年で消えるかもしれないが今の今だからこそ価値があるというものもある。また、名作と呼ばれる作品は数多あれど自分の好む作品は限られている、ということもあるかもしれない。好きな作家やアーティストのこれまでの作品は味わい尽くしている、という人は新しい作品が発表されたらそれに飛びつくだろう。未知のものに対するわくわく感もある。評価が定まっていないのでもしかしたら史上最高の傑作である可能性も秘めている。技術の進展もある。映画の映像や音響は映画が世に出てから進化し続けている。新しいものを体験したいという気持ちはよく理解できる。

とはいえ全般的に新しいものにプレミアムが乗せられすぎているような気もする。世に出てから10年以上経っても色褪せない名作はどのジャンルにも多数存在する。そういったすばらしい作品群を楽しまずに新しいものばかりに注目するのはもったいないようにも思う。特に本は2000年以上前に書かれたものから残っているし、音楽も300年分の名作がある。新しいものから刺激を受けつつ、これまで人類が蓄積してきたすばらしい作品も十分に味わっていきたい。


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