学習や教育を取り巻く環境の変化 2024


今年は高校で新しい学習指導要領の下で授業を受けてきた生徒が初めて受験学年になっている。すでに実施されている総合型選抜や学校推薦型選抜について昨年から大きく変わった印象はないが、東京大学を始めとする国立大学の多くが共通テストで「情報I」を必須とするなど一般選抜の教科・科目は再編成されている。2025年1月に行われる共通テストの出願者数は49.5万人と7年ぶりに増加した。現役生の中で共通テストに出願した人の割合は45.5%で前身のセンター試験も含めて過去最高だという。

大学受験の中で総合型選抜の占める割合は引き続き増加している。2024年度の大学入学者数613,453人のうち総合型選抜を経て入学した人は98,520人と16%に達した。5年前と比較して49%増の人数になっている。2025年度入試では特に理工系で女子枠を活用する大学も増えた。国公立大学で女子枠を設定したのは30校と前年の倍以上になった。京都大学も2026年度入試から理学部と工学部の特色入試で女子枠を設けることを発表した。一方で、東大からは学士課程修士課程一貫型、文理融合型のCollege of Design(仮称)の2027年の開設を検討しているという発表があった。「入学時期は秋、従来の大学入試にとらわれない新しい選抜方法」とのことで、入試の多様化がさらに進むことを予感させる。

今年は国立大学の授業料の値上げについても話題になった。3月の中央教育審議会で慶應義塾の伊藤公平塾長が国立大学の授業料を150万円にすべきという提言をして議論を呼んだ。9月には東大が現状年53万5800円の授業料を2025年度入学生から64万2960円に値上げすることを発表した。授業料を値上げできる大学がある一方で、定員を満たすのに苦労している大学もある。2024年度の入学者が定員に達しなかった私大は354校あり、59%にも上る。入学者が定員の8割に満たなかった大学も182校(30%)あった。文部科学省が今年発表した推計によれば今のままだと2050年に大学全体の定員の3割が埋まらなくなるという。

高校では通信制に通う生徒数が過去最高を記録している。2024年度の通信制高校の生徒は29万人と前年より2万人以上増えた。日本最大の通信制高校N高校・S高校を運営するドワンゴは公益財団法人日本財団と提携してさらに通信制大学ZEN大学を開学することを発表した。2025年4月に向けてZEN大学の出願者はすでに2000名を超えているとのことだ。

昨年からブームになっている生成AIの勢いも止まらない。教育の現場でも、授業内で利用したり、教材の一部に組み込まれたり、活用が進んでいる。他方、生成AIの影響で苦境に陥る企業も出始めた。アメリカのChegg社は高校生や大学生向けにオンラインでチューターサービスを提供する、年間売上高1000億円規模の会社だが、コロナ禍の収束で会員が減り始め、さらにChatGPTの登場が追い討ちをかけた。Chegg社のサービスの代わりにChatGPTを使う人が増えた結果、会員数が大幅に減り、株価はピークから99%下げた。教育業界にも大きな波が押し寄せているようだ。


洋々ではプロフェッショナルによる無料の個別相談を承っております。

個別相談申込ページからご予約いただくか、

電話またはメールにてご連絡ください。

電話:03-6433-5130(平日1400-2100、土1000-1900。水日祝休み。)

Eメール:you2_info@you2.jp

お気軽にご相談ください。