志望理由書作成の肝(5)構成と要素① 基本的な構成
テーマ(その大学学部で追求したいこと)を自分らしく、かつ、その大学学部に合った形で設定出来たら、そのテーマを中心に志望理由書の構成を考える。自分にとって最適なテーマを決めるのは簡単ではないのでまずは仮のテーマでも構わない。志望理由書は他の人とは異なる自分ならではのものを作成したいところだが、合格者の書類の構成は意外と似通っている。多少構成が異なっている場合でも含まれている要素はだいたい同じことが多い。もちろん特定の形でなければいけないということはないし、構成や要素も自分らしさを貫くというのも悪くないと思うが、その場合でも定石を知った上で別の道を探りたい。以下に紹介するのは志望理由書の基本的な構成と要素だ。
まずはきっかけ。テーマにつながる自分ならではのエピソードを紹介する。自分の経験、過ごしてきた環境、読んできた本、等から自分がなぜそのテーマを追求したいのかを自然な形で伝えたい。ここがスムーズな形で伝えられないと志望理由書を書くために思いつきでテーマを選んだのではと邪推されかねない。
きっかけの次に来るのが問題意識。問題意識はテーマに直結するものでなければならない。きっかけとして紹介するエピソードの中で感じたものでもよいし、きっかけとなる経験を経ていろいろ調べた結果、生まれたものでもよい。何としてでもこれを解決しなければいけない、という強い気持ちを伝えたい。
で、その問題をどのように解決して、どのようなことを実現したいのか。この実現したい世界を魅力的に描けるかどうかは志望理由書自体の魅力を大きく左右する。解決方法はそこまで具体的である必要はない。多くの場合、解決の方向性を示すだけで十分だ。要はその解決のためにその大学学部での学びが必要であることを言えるかどうかだ。
その大学学部でどのような学びをしようとしているのかは具体的に述べたい。そこにいる教授の名前や授業名を挙げてもよい。ただ、大事なのは取りたい授業の列挙ではなく、自分にとって必要な学びとはどういうものかということだ。つまり、大学学部が提供していることを並べるのでなく、自分視点で自分が必要としていることを伝えなければいけない。
最後になぜその学びをするのにその大学学部が最適だと考えるのかということ。他の○○大学△△学部でなくてなぜそこなのか、それこそが「志望理由」でありこの書類の結論になる。
以上はあくまで例であり、すべての要素を含んでなくてもよい。たとえば、明確なきっかけなしに問題意識を持つに至った場合は、無視してきっかけを書く必要はない。構成にこだわり過ぎてかえってぎこちない文章になるのはもったいない。志望理由に説得力を持たせるためにガイドとして考えあくまで自分らしい自然な文章を目指せるといい。
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洋々代表。日本アイ・ビー・エム株式会社にて、海外のエンジニアに対する技術支援を行う。その後、eラーニングを中心とした教材開発に、コンテンツ・システムの両面から携わる。 東京大学工学部電子情報工学科卒。ロンドンビジネススクール経営学修士(MBA)。