志望理由書作成の肝(6)構成と要素② きっかけ
志望理由書を書く上で、自分のテーマを選ぶに至ったきっかけを自然な形で書くことの効果は二つある。
一つは自分がそのテーマを選ぶ必然性を伝えやすくなることだ。自然な形できっかけを書くことができれば自分こそそのテーマを追求するにふさわしいと思わせることができる。たとえば、地元の商店街がみるみるうちにさびれていくのを目の当たりにしたことがきっかけで何とかしなければと焦燥感を覚えた地方在住の人が地方活性化をテーマにすることには説得力がある。東京在住の人が地方活性化のテーマで志望理由書を書いていけないわけではないが本気度を示すためには地方在住の人と同レベルの説得力を持つきっかけを伝えたい。自然な形できっかけが書けないと総合型選抜や学校推薦型選抜を受験するために選んだテーマじゃないの、と穿った見方をされる可能性もある。
もう一つはパーソナルな面を見せられることだ。志望理由書はロジカルになぜその大学学部が自分にとって必要なのかということを説明していくものだが同時に自分がどういう人であるかも伝えたい。この人と話してみたいと思わせるためには人間的な部分も見せる必要がある。世の中や自分の周りで起きていることに対してどのような感情を持ってきたのか、を表現することで自分がどのような人間かを伝えやすくなる。それを一番表現しやすいのがきっかけの部分だ。
この二つの効果を考えると、きっかけとしては、テーマを選んだ理由がわかりやすく、かつ、自分がどういう人かを伝えやすいものが望ましい。本来であれば、今自分のテーマを選ぼうとしたきっかけをそのまま述べればよいが、何でそのテーマに興味をもったのかあまり覚えていない、という受験生も少なくない。その場合は、自分自身のことを振り返り分析することになる。最初からきっかけのわかりやすさ、自分らしさも考慮して、自分のテーマを決めるというのも一つの方法だ。
本で読んだことや人に聞いたこともきっかけになり得る。テレビドラマを見て検察官になろうと思うのも悪いことではない。きっかけはあくまできっかけに過ぎず、そのきっかけから始まって、徐々に本気でそのテーマに取り組むようになればいい。ただ、上記の効果を考えると、限られた字数の志望理由書に書くきっかけとしては、見聞した話よりも自分が直に経験したことの方が望ましい。そのようなきっかけがない、あるいは、どうしても思いつかない、という場合は、きっかけとは別にそのテーマを自分が追求すべきと考えるに至った理由を説明していく必要が出てくる。
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洋々代表。日本アイ・ビー・エム株式会社にて、海外のエンジニアに対する技術支援を行う。その後、eラーニングを中心とした教材開発に、コンテンツ・システムの両面から携わる。 東京大学工学部電子情報工学科卒。ロンドンビジネススクール経営学修士(MBA)。