政治のプロ?


若いときから高い目標を持ち、その道のプロフェショナルを目指し研鑽を積む、というのは素晴らしいことだと思う。スポーツ、芸術、囲碁・将棋などの分野で最高峰を目指そうと思ったら大人になってから始めるのでは遅い。ほとんどのプロフェッショナルは小学生の頃から努力を重ねている。残念ながら中学生になってからピアノを始めてもプロのピアニストになれる可能性は極めて低い。囲碁、将棋も同様だ。スポーツの競技によっては中学生になってから始めてもプロになれる可能性はあるが、それまでに他の競技を行うなど身体能力を高めておくことが条件になるだろう。技術が物を言う分野では幼いころからの鍛錬なしにトッププレイヤーになることは極めて難しい。小さい頃からこつこつと努力を積み重ねてきた人だけが圧倒的な実力を持ち勝つことができる。

しかし、すべての分野で若いときからやることを絞って行う方がよいとは限らない。ビジネススクールに留学したときに思ったのは大学でビジネス以外のことを学んでよかったということだ。工学部出身でエンジニアとして経験したことはビジネスを学ぶ上でマイナスになるどころか大きな強みになる。今振り返っても学部でビジネスを学んで例えば経営企画部門で経験を積むよりも幅が広がってよかったと思っている。経営者に求められるのは経営スキルのような専門的なものではなく世の中のことを理解し組織を動かす総合力である。たとえ小学生の頃から経営のトレーニングを受け続けても経営者としての成功につながるようにはあまり思えない。

同様のことは政治家にも言える。小さい頃からトレーニングを受けることで立派な政治家になれるわけではない。むしろ政治のことしか知らない人がいい政治家になれる気がしない。政治家には経営者同様総合的な力が求められる。選挙権年齢の18歳への引き下げに伴い、政治的活動に関わる高校生が増えるかもしれない。若いうちから政治に興味を持つことはとてもよいことだと思う一方で、政治家を志すのであれば、早いうちから政治の真似ごとをするよりも世界や日本の歴史を学んだりそのとき関心を持っているテーマを突き詰めていくなど自分の考え方の幅を広げたり知識を深めたりする方がよいように思う。すぐ行動に移せることは素晴らしいことだしもしかしたら政治家にとって最も重要な資質の一つかもしれないがパフォーマンスだけで中身のない政治家が増えるのは好ましくない。

野球が好きで好きでたまらなくて小さい頃から打ち込んでプロになった選手の技術を見るのは楽しいが若いころから政治的活動ばかり行ってきた人がその政治力を発揮しているのを見るのはあまり楽しそうでない。


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