民意の反映


舛添都知事がついに辞職に追い込まれた。政治資金の使い方について公私混同甚だしくあまり見栄えのいいものではないと思っていたし、使い道を制限するための何らかの仕組みが必要だと思っていたが辞職するような問題ではないと思っていた。「違法ではないが不適切」な部分については寄付の形で返金するとのことだったし、今後についてもこれだけ大きな騒ぎになれば少なくとも舛添氏が都知事を務めている間は政治資金の使い道について報道機関や都民が逐一チェックしていくだろうから流石の舛添氏も使い方について慎重にならざるを得なかっただろう。批判されている政治資金の使い方の中には許容されてもいいのではと思うものもあった。海外出張の際に飛行機のファーストクラスやホテルのスイートルームを使うのは贅沢ではあるが、14兆円もの予算規模をもつ大都市東京のトップに対してそこまで目くじらを立てるほどのことではないと個人的には思う。

延命の策を最後まで探っていた舛添氏が今回とうとう辞任することになったのは間違いなく民意が反映されてのことだ。東京都に税金を払っている人は、苦労して納めた税金を都知事がプライベートの場でも好き勝手に使っていると思ったら腹も立つだろう。舛添氏の当初の開き直りとも言える発言はそういった怒りを増幅させる効果があった。都民、そして国民のここまでの憤慨がなければ、自民党が不信任決議案を提出する意向を示すこともなかった。

今回は1週間後の22日に参議院議員選挙の公示を控えていることの影響が大きかったが、インターネットやSNSの普及で民意の把握をしやすくなったせいか、政権にそれを活用する知見が蓄積されたせいか、最近、都民や国民の意向が政治に反映されやすくなっている印象がある。2012年以降、安倍政権が継続して一定の支持率を得ている理由の1つとして民意への敏感な反応があると思う。今回、舛添氏は精神的に追い詰められて辞職に至ったというより、残りの数少ない選択肢から合理的に選んだ形で、辞職は不可避の状況だった。都民の投票がなくても、自民党がその感情を察知し動くことで、結果として民意が反映される形になった。民主主義がまた一歩進んだと言うべきか。

そうは言ってもやはり決定的に民意を反映するのは選挙だ。舛添氏は2014年の都知事選で200万票以上の票を集めている。選挙で選ばれた人が辞任に追い込まれたときにいつも思うのは選ぶときに有権者は見抜けなかったのかということだ。次の選挙では人となりをできる限り知り抜いた上で任期満了まで応援できるような人を選びたい。


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