筑波大学の入試改革(2次試験が面接と小論文中心に)


筑波大学では5年後を目処に一般選抜の2次試験を面接と小論文中心に変えるという。

筑波大学長、2次試験を「面接と小論文中心に」の意向 5年後めど(朝日新聞)
筑波大学が入試改革 面接や小論文重視に変更へ 「才能見いだす」(毎日新聞)

基本的な学力は共通テストで見て、個別試験でこれまで見つけられていなかった才能を見つけたいということだ。

2021年度にセンター試験が大学入学共通テストになったタイミングで、当初予定されていたほど内容に大きな変更はなかったが、共通テストを活用する入試は増えている。早稲田大学では政治経済学部の一般選抜の配点が共通テスト(4科目)50%、学部独自の総合問題が50%となっている。後者は記述式を含む、日英両言語の総合問題で、学部独自の科目試験は廃止されている。同じ早稲田の国際教養学部の一般選抜は学部独自の試験は英語のみで、やはり共通テスト(2科目)が配点の半分を占める。早稲田ではスポーツ科学部も共通テスト+小論文の形で一般選抜を実施している他、2025年度入試からは社会科学部、人間科学部でも共通テスト+学部独自試験の形で実施することが決まっている。上智大学でも共通テスト+学部学科独自試験(記述式含む)の形の試験が一般選抜の6割近くを占める。

朝日新聞の記事によれば筑波大学の学長は「基本的な学力は共通テストで分かるので、さらに筆記試験をやっても仕方ない」と説明していたとのこと。小論文試験を中心に、ということなのでここでの「筆記試験」は英国数理社の科目試験のことだと思われるが、早稲田や上智も同様の考えで、共通テスト+特色ある独自入試、という形に変更しつつあるのだろう。

もちろん共通テストだけですべての学力を見るのは難しい面もある。たとえば東大や京大の理系のようにこれから理学や工学、あるいは医学や薬学の道を究めていくことが期待される学生の試験としては共通テストとは別に記述式で難易度の高い、数学や理科の試験があってもいいように思う。ただ、他の多くの大学学部では同じ科目を2次試験で課すのは冗長な部分も大きい。特に文系の場合は東大や京大であっても、共通テスト+小論文で適性を十分に評価できるように思う。もちろん志望理由書を課したり、面接を課したりすることでさらに大学学部とのマッチングの精度を高めることもできるが、どこまでやるかはコストと精度のバランスによる。

基本的な学力の審査は共通テストに任せて省力化を図り、見極めたい力の審査にリソースを割く、というのはとても合理的な考え方で、これからの大学入試の一つの方向性なのかもしれない。


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