読み手の偏見


その名前から女子だと思っていた受講生の志望理由書を読んだ後、実は男子だったことを知り、印象がガラッと変わったことがある。女子としてはユニークだと思ったことが男子だとそこまでユニークに感じなかったのだ。自分の偏見を思い知った経験だったが、こういった偏見はおそらく実際に大学で書類を評価する人にもある。

全く同じ文章でも書いた人の背景や属性などのコンテクストによってその受け取られ方は大きく変わってくる。性別、住んでいる地域、通っている学校、等、から読み手はその人のイメージを作っていく。男性と女性とではイメージが変わるのはもちろん、都市部に住んでいるか、地方に住んでいるのかでも印象は大きく異なる。私立の進学校に通っているか、地域の公立校に通っているか、によっても読み手は異なるイメージを持つだろう。調査書や活動報告書も出す場合は、さらに学校の成績、得意科目・苦手科目、所属する部活、これまでの活動歴から読み手はいろいろ想像を働かせながらその人のイメージを描いていく。手書きの書類の場合は、その文字からも書いた人のイメージを膨らませるかもしれない。志望理由書は読み手が勝手に描いたイメージの下で読まれることになる。

総合型選抜や学校推薦型選抜において志望理由書はとても重要だが、その評価はコンテクストによって変わる。その意味では、自分の背景を十分に活かせるような内容を考えることが望ましい。ステレオタイプ的な見方をされがちな背景をもっていれば、むしろそれを活用するような形で書類を作ることもできる。たとえば、海外の大学に出願する際には日本人としてのアイデンティティを全面に出してもいい。志望理由書はそれ単体ではなく総合的な評価されるので出願書類全体のパッケージの印象を意識する、ということもしたい。重要な部分は多少冗長であっても志望理由書に加えて他の書類でも触れるようにして全体の印象を固めることで、読み手の偏見を活用したり、逆にそれを覆したりすることができる。

現代文の試験問題で課題文を書いた作者本人に解かせたところ正しい解答を選べないことがあるという。そういう話が持ち出されるのは試験問題を批判するためであることが多いが、試験問題作成者が間違っているとは限らず、ただ単に作者の表現したかったことが読み手に伝わらない文章になっていた可能性もある。自分が書いたものだからといって他の人が自分の意図通りに読んでくれるとは限らない。あくまで読み手の立場に立って、場合によってはその偏見も見越して、客観的に見直しながら作品を仕上げていく必要がある。


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