警告の効力
トンガの大規模な噴火の影響で日本にも津波が押し寄せるリスクがあるとのことで神奈川県では夜中の0時過ぎから今朝にかけてスマホのエリアメールで津波注意報を知らせる緊急速報が10回以上届いた。東日本大震災の例を出すまでもなく、津波は数10センチのレベルでも大きな被害をもたらしうる、最大限の警戒を要するものだ。ただ、警告が出て、被害がない、という状態が続くと人々が学習をして警告が効かなくなる、というところが難しい。油断している人が多くなると津波の被害は大きくなる。予報の精度を上げて、津波の規模を的確に言い当てられればよいがそれも簡単ではないだろう。警告を出さずに被害が出ると厳しく糾弾されるのは避けられず、一方で警告を出しておいて被害がなくても非難されることはあまりないので、どうしても怪しいときにはとりあえず警告を出す、というようになりがちだ。
その点、気象庁の津波警報・注意報はよい方で、普段は地震が発生した際にわずか数分以内にリスクが低いと判断すれば「津波の心配はありません」と断言する。測定誤差や通信のエラー等で万が一危険を見逃している可能性もありそうな気がして、「津波が起きる可能性は低いですが沿岸部の皆さんは念のため注意してください」等、保守的に言いたくなってしまいそうだが、そうはせずに心配ない、と言い切るのは心強いし、気象庁のプライドを感じる。リスクが十分低いときに「心配はありません」と断言しておくことは、本当に危険なときの警告の効力を維持するという意味で、とても重要だ。
昨日の深夜から今朝にかけての緊急速報の多さは神奈川県だけだったようで何らかシステムのトラブルがあった可能性もあるが、結果的に警告の効力を弱めてしまったのは間違いない。警告すべきときに警告しない方が、警告しなくていいときに警告するよりもリスクが大きいのは確かだが、だからといって警告を多めにしていいというわけではない。警告しなくていいときに警告するとそのたびにその効力が少しずつ失われていく。
今日は大学入学共通テストの2日目。岩手県では津波の影響で中止になった会場があるという。ただでさえオミクロン株の影響で混乱しているところに、刺傷事件があったり、津波警報・注意報が発表されたりで受験生には気の毒だが、動揺し過ぎず本来の実力を発揮されていることを祈ります。
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洋々代表。日本アイ・ビー・エム株式会社にて、海外のエンジニアに対する技術支援を行う。その後、eラーニングを中心とした教材開発に、コンテンツ・システムの両面から携わる。 東京大学工学部電子情報工学科卒。ロンドンビジネススクール経営学修士(MBA)。