志望理由書作成の肝(7)構成と要素③ 問題意識


きっかけはあくまできっかけに過ぎず、そこからテーマ(その大学学部で追求したいこと)につなげるために、そのきっかけによって生まれた自身の問題意識について説明したい。大学でそのテーマを扱いたいと思うのは強い問題意識があるからだ。

問題意識は読み手に共感してもらえるような形で伝えたい。そのためには客観的な視点で問題を捉え、なぜそれが問題なのかを説明する必要がある。たとえば自分の住んでいる地域の過疎化が進んでいることを問題だと思うのであればその地域に住んでいない人にも危機意識が伝わるようにしたい。自分が取り組んでいるマイナースポーツが世の中に広まらないことを問題視するのであれば、それを広めることのメリットをしっかり伝えたい。問題意識は自分がこれまで取り組んできたことや住んでいる地域に関することを取り上げる方が自分事として強い気持ちを伝えやすいが、その場合は独り善がりにならないように気をつける必要がある。その問題を解決することで、その活動をしていない人、その地域に住んでいない人にもメリットがあることを示すのは一つの手だ。あるいは、自己中心的にならずに現状の改善の必要性を情熱を持って訴えることによって、その問題に関係ない人の共感を得ることも可能だ。飢餓や虐待等の問題を考えればわかりやすいが、多くの人は不公平感や理不尽さを覚えると、自分にとってのメリットデメリットに関係なく、その問題意識を共有し、解決を強く望むようになる。

客観的な視点という意味ではデータを活用することも有効だ。どれだけ地域の過疎化が進んでいるかは人口の減少率、高齢化率、空き店舗の数、等を示すことでより伝わりやすくなる。環境問題でも貧困問題でもそれが本当に問題であることを示すためにはデータが欠かせない。自分の問題意識を共有するためにはまず事実をベースに現状の問題を分析して正しく捉えなければならない。

選抜されるための志望理由書なので他の受験生との差別化が大事になるが、志望理由書の中で最も差別化しやすいのがこの問題意識の部分だ。その問題をどう解決するか、というところで差別化を図ろうとする受験生が多いが、よくある問題を取り上げた場合、新たに優れた解決策を提案するのは難しく、どこかで聞いたことがあるようなものや実現性に乏しいものに陥りがちだ。それに比べると問題の捉え方は自由度が高く独自性を出しやすい。仮にSDGsの17の目標で取り扱っているような大きな問題に取り組むとしてもその問題のどの部分に特に問題意識を感じるのかというところで独自性を出すことは可能だ。


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