必ず雨を降らせる雨乞いの踊り
「頭の体操」というパズル本があって中高生のときよく読んでいたが、その中のお気に入りの一つに「ある種族が雨乞いの踊りをすると必ず雨が降る。なぜそんなことが可能だったのか?」というような問いがある。答えは「雨が降るまで踊り続けるから」なのだが、できるまでやるというその種族(実在ではないだろうが)の精神は楽観的かつ根気強く、見習うことができる。
前職で企業でのeラーニングシステム導入のサポートをしていたときにソフトウェアの問題が見つかるとインドにあるテクニカルサポートチームにその修正を依頼した。不具合の詳細な内容を伝えるとエンジニアがパッチと呼ばれる修正プログラムを作成して送ってくれるのだが一回で不具合を解消できることはほとんどない。顧客である企業の担当者の懸念と不安に直面する我々は少しでも早く不具合を修正したいので、しっかりテストして完璧なものを送るよう要請するのだが、遠隔でのやり取りということもあり、それがなかなか難しい。問題解決に至るまで何度も何度もやり取りを繰り返す。こちらの焦りとは反対に楽観的、かつ、気長に修正を施して、何度か失敗を繰り返し、やっと問題を解決したら、「ねっ、直ったでしょ?」的なことを言うインド人のエンジニアを見て、少し腹を立てながら雨乞いの踊りをする種族のことをよく思い出した。ただ、不思議なことに、最終的に解決にたどりつけば途中のモタモタ感に対する不満はかなり弱まる。
大相撲の稀勢の里関はこれまで横綱に届きそうで届かず日本中のファンをやきもきさせてきたが、ついに幕内優勝を果たして横綱昇進を遂げた。焦ることなくただひたすら目標に向かって日々やるべきことをやってきた結果だろう。今となっては、なるべくして横綱になった感じがするし、もうずっと横綱になれないのではと疑いを持ったこともほとんど忘れかけている。大関在位31場所目の初優勝は昭和以降最も遅い記録で、30歳と6か月での横綱昇進は現行の年6場所制になって以降、4番目の高齢昇進だそうだが、そこに至るまでの時間の長短より、なるかならないかの方がはるかに重要だ。
期限内にやらなければ意味のないことも多いし、期限を気にすることは必要だが、どんなに時間がかかっても、どんなことがあっても、必ずやり遂げるという根気強さも大事だ。時間の制限がないと逆にモチベーションを失いがちだが強い気持ちをもって目標に向かって努力し続ければきっとやりたいことを実現できる。他のことは考えずに愚直にただ雨が降るまで踊り続ける、というのも悪くない。
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洋々代表。日本アイ・ビー・エム株式会社にて、海外のエンジニアに対する技術支援を行う。その後、eラーニングを中心とした教材開発に、コンテンツ・システムの両面から携わる。 東京大学工学部電子情報工学科卒。ロンドンビジネススクール経営学修士(MBA)。