コロナ禍の中の大学受験
大学入試の2021年度一般選抜はまだ少し先だが、総合型選抜はすでに始まっている。先陣を切ったのが先週早くも2021年度1回目の出願を締め切った慶應義塾大学SFC(湘南藤沢キャンパス)だ。SFCのAO入試の2次選考は面接のみで審査されるが今年の募集要項には(1)キャンパスでの面接、(2)遠隔面接、(3)2次選考を実施しない、の3つの可能性が示されていて、9月以降に方針が決定することになっている。(3)の場合は、今年新たに追加された3分のプレゼンテーションビデオも含め、提出書類のみで最終合否の判断が下される。
総合型選抜の2次試験は面接や小論文など例年キャンパスで実施されることが多いが今年はSFC以外でもいつもと異なる形で行うところの方が多くなりそうだ。同じ慶應義塾大学の法学部のFIT入試は、例年A方式が模擬講義論述試験、プレゼンテーション、グループディスカッション、B方式が総合考査と面接、というかなり特徴的な形で行われるが、今年は両方式とも課題の提出および面接だけということになった。国際基督教大学(ICU)の総合型選抜もグループディスカッションに代わりオンラインでの個人面接が実施されることが決まっている。
自分が得意としている、あるいは、自分が特に力を入れて準備してきた試験の形式がなくなったことを残念に感じている受験生も多いだろう。たくさんの過去問演習を通して何となくコツを掴んだ感覚を持っていたら、その形式で出題されないことに対してやるせない気持ちになるのも理解できる。ただ、そもそも準備してきたことがそのまま役に立つことの方が稀であるし、状況が変わったときにはすぐに切り替えて新しい目標に向けて準備をし直すしかない。
一般入試に代わる形で総合型選抜の入試が増えてきているのは不透明な時代に自ら切り拓く力が求められていることの証左でもある。その力は前例のない入試でこそ試される。今年限りかもしれない、新しい形式の入試に向けて、不安を抱えながらも果敢に挑戦する受験生を心より応援したい。
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洋々代表。日本アイ・ビー・エム株式会社にて、海外のエンジニアに対する技術支援を行う。その後、eラーニングを中心とした教材開発に、コンテンツ・システムの両面から携わる。 東京大学工学部電子情報工学科卒。ロンドンビジネススクール経営学修士(MBA)。