見えていること


人は自分に見えていることしか見ることができない。当たり前のことではあるけれどつい忘れがちなことだ。自分自身に見えている世界に限っても、時によって見え方は大きく変わる。それを考えると、おそらく、人によって見えている景色というのはかなり異なる。目で見ているものに限らず、頭の中で見ていることについても自分に見えていることしか見えない。もちろん、他の人に見えていること、他の人が考えていることをその人の顔の表情や文章にしたものなどから推測することはできる。そして、多くの場合、その推測はそれほど大きく外れていないかもしれないとも思う。ただ、それは飽くまで推測にすぎない。

たとえば、親が子供に喜んでもらおうと思って何かプレゼントを渡す。子は、プレゼントそのものではなく、親の気持ちが嬉しく、また子が喜ぶところを見て満足するだろう親の気持ちを考えて素直に喜びを表現するかもしれない。このとき、親の気持ちを組んで感謝の意を表す子は、単純に子供が喜ぶだろうと思ってプレゼントを渡す親よりも状況が見えているように感じるかもしれない。しかし、もしかしたら、その親は、素直に喜びを表現し親に喜んでもらうことによって子が感じる満足感を知っていて、あえて、無邪気にプレゼントを渡したそぶりをしたのかもしれない。自分がいいことをしたと思って満足感を感じるときは、もしかしたら、他の人が自分の見えないところで、自分がいいことをして満足感を感じるように仕向けてくれているのかもしれないのだ。

社会人に成り立ての頃の自分を今振り返ってみると、何も見えていないのに、いろいろなことが見えているように感じて、今、考えるとずいぶん生意気なところがあったのではないかと思う。自分の方がよく見えていると思っていても実は周りのひとの方がよく見えていたケースがほとんどだったのではないか。その頃に比べれば大分いろいろなことが見えるようになったとは思うが、それでも今も自分に見えていることしか見えていないことに変わりはなく、やはり見えていない部分がたくさんあるだろうとは思う。

どんな人でも人は生まれた時から自分に見えていることしか見ることができない。これは今までもそうだし、今後も(少なくとも当分の間は)変わらないだろう。ただ、自分には見えていないことがある、ということを思い出すことで、少しだけ謙虚になれるかもしれない。


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洋々代表。日本アイ・ビー・エム株式会社にて、海外のエンジニアに対する技術支援を行う。その後、eラーニングを中心とした教材開発に、コンテンツ・システムの両面から携わる。 東京大学工学部電子情報工学科卒。ロンドンビジネススクール経営学修士(MBA)。