コンピュータによる「支配」


数日前にGoogles社開発の囲碁のソフトウェアがプロ棋士に勝ったという報道があった。日本経済新聞は1面に記事を載せていたがそのくらいのインパクトはあるニュースだった。今回のプロに勝ったというGoogleのプログラムはコンピュータが自ら学習するディープラーニングという手法を使って開発したという。ここまで来たら世界一の人間囲碁棋士よりも強くなるのは時間の問題だろう。もしかしたらすでに超えているかもしれない。

このままコンピュータの進歩が進むとコンピュータが人間を「支配」する日はそんなに遠くないのではないかと本気で思う。人間は神様でもコンピュータでも擬人化して考えがちだ。コンピュータによる人間の「支配」というとコンピュータが人間のような思考で人間の独裁者のように思うがままに人間に命令を出して、人間が嫌々ながらそれに従わざるを得ないような状況を思い浮かべる。そのような可能性もゼロではないがあまり現実的ではない。悪意のある人がそういう仕組みを施さなければコンピュータは従順なままでいるだろう。しかし、コンピュータに処理できることが増えて、何でもコンピュータに頼るようになったら、人間がやらせているようでも実は「支配」されているのと同じような状況にならないだろうか。便利さを追求していくうちに多くの人はスマートフォンを持ち歩くようになった。いつでもインターネットに接続できGPSまで付いている。コンピュータは1つ1つの端末と絶えずコミュニケーションを取り、地球上のどの位置にいるかを把握し、すべての情報を管理して、端末からのリクエストがあればそれに応じる。もちろんスマホを持ち歩く、持ち歩かないはその人の自由ではあるが事実として多くの人が肌身離さず常に携帯している。人間の感情を除いて事実だけ見ていくと個々の人間がコンピュータの指示を受けやすいように変化しているようにも見える。インターネットの世界的な普及、GPSの精度の進化、端末の処理能力の拡大と小型化、いずれもコンピュータによる「支配」を着々と進めるものだ。現時点でも地球の外部から情報の流れと人間の動きだけを見たらコンピュータに支配されているように見えるかもしれない。乗換案内アプリを使ってどの電車に乗るかを決めたり、カーナビで行き先を決めたりするくらいならまだいいが、このままコンピュータの発展が進むと日々の行動においても仕事においてもコンピュータに尋ねないと何にもできないようになりかねない。自分の意思で自分のやりたいようにやるという選択肢が残っていてもコンピュータの指示通りやったほうがうまくいくということが分かっていればそのうち自分で考えることはしなくなるだろう。殿様が参謀に指示を出して作戦を決めさせているつもりでも常に参謀の言う通りに動くのであればどちらがどちらを支配しているのかわからない。

コンピュータの影響力が今後さらに大きくなるのは間違いない。コンピュータによる「支配」が進むとしてもそれで生活が便利になるのであればスマホを手放せないようにそれを拒否できる人はほとんどいないだろう。それがいいことか悪いことなのかはまだよくわからないが20世紀半ばから始まったこの流れは一貫して揺るぎなく今後も変わりそうにない。


洋々ではプロフェッショナルによる無料の個別相談を承っております。

個別相談申込ページからご予約いただくか、

電話またはメールにてご連絡ください。

電話:03-6433-5130(平日1400-2100、土1000-1900。水日祝休み。)

Eメール:you2_info@you2.jp

お気軽にご相談ください。

洋々代表。日本アイ・ビー・エム株式会社にて、海外のエンジニアに対する技術支援を行う。その後、eラーニングを中心とした教材開発に、コンテンツ・システムの両面から携わる。 東京大学工学部電子情報工学科卒。ロンドンビジネススクール経営学修士(MBA)。