情けは人のためならず


トイレットペーパーが購入できない状態は解消しつつあるようだがまだ棚が空っぽのスーパーもあり思っていたより長引いている感がある。マスクとは異なりいくらコロナウィルスが猛威を振るったからといって需要が急増するものでもないので一時的な不足はあっても製造に問題がなければすぐに元に戻ると思っていた。かさばるものなので足りないからといって一気に配送するのが難しいということもあるのだろう。全面封鎖もあり得る状況なので普段より多めに買っておこうと思うのは自然だし、日本だけでなく他の多くの国でトイレットペーパーの不足は起きているので普遍的な問題なのかもしれない。ただ、そうは言っても、皆が必要十分なだけ買っていたら不足にならないものを必要以上に買う人がいるために買えなくて困る人がいるという構図は少し残念に思う。個々の利益を追求した結果、全体の利益を損なうという囚人のジレンマ的な問題で、神の見えざる手だけでは解決できない。

発展途上国や新興国を訪れると先進国と比較して自動車の交通マナーの悪さに気付くことが多い。少しでも早く目的地に着くために道路でないところを走ったり、少しすきがあればどんどん割り込んでいったりする結果、全体の交通の流れが悪くなる。急速な発展に道路や信号の整備が追い付いてなかったりすることも原因だと思うが、皆が交通ルールを守れば全体として効率がよくなるのではと思うことも少なくない。日本でも高速道路で路肩を走ったり、無理に割り込んできたりする利己的なドライバーもいるが、そこまで数が多くないうちは全体の秩序が乱れるほどにはならない。ただ、今の比較的スムーズな交通は意外と微妙なバランスの上に成り立っており、利己的なドライバーの割合が少し増えるとそのこと自体がさらなるモラルの欠如を呼び、全体として非効率的な状態に陥る可能性がないとは言えない。

トイレットペーパーの流通も微妙なバランスの上に成り立っていたのだろう。人々のちょっとした心理の変化でバランスが崩れ1ヶ月も不足気味の状況が続くことになった。トイレットペーパーの買いだめはモラルの欠如というほどのものではないし、そうする人を白い目で見るような社会は息苦しい。かといって利他の精神を呼びかけるほど大げさなことでもない。必要なのはちょっとした心の余裕なのではないかと思う。たとえばスーパーで商品を選ぶときに同じ商品の中から最も賞味期限の長いものでなく、自分にとって必要十分な長さの賞味期限のものを選ぶような、基本的には利己的だけど他の人のことも少し考えられるような余裕があると全体でスムーズに動くのではないかと思う。1人1人のほんの些細な「情けは人のためならず」の精神が全体のバランスを保つ。


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洋々代表。日本アイ・ビー・エム株式会社にて、海外のエンジニアに対する技術支援を行う。その後、eラーニングを中心とした教材開発に、コンテンツ・システムの両面から携わる。 東京大学工学部電子情報工学科卒。ロンドンビジネススクール経営学修士(MBA)。