「歴史」を学ぶ


初めて科目としての「歴史」を学んだとき、それは過去の出来事を点で知ることだった。1192年に初めて武家政権ができた、1590年に豊臣秀吉が天下統一した、1867年に大政奉還が行われた、等。その意味を深く考えることはせず、とりあえず言われるままに覚えた。出来事や実施されたことの内容も箇条書きのような感じで覚えた。豊臣秀吉が実施したことは検地と刀狩り、明治政府は版籍奉還・廃藩置県を実施し学制・徴兵制度を整備した、というような感じで。なので「歴史」は暗記科目、と今の中高生が言うのは無理のないことだと思うし、私自身そのように思っていた。

元々意味を理解せずに暗記することから始めたものの、重要な出来事と年号を覚えて歴史の転換点を知ることで、平安時代は貴族中心の政治だったのが鎌倉時代には武士が政権を担うようになった、関ヶ原の戦い以降、徳川将軍家が日本を支配していたのが、明治維新以降、現在につながる政府が日本の政治を担うようになった、等のイメージをある程度持てるようになる。最初はその意味がよくわかっていなかった検地や刀狩りも当時の状況が何となくイメージできるようになってくるとその政策の重要性が後から理解できるようになってくる。明治政府の政策も最初に覚えたときはただ単語を諳んじるだけだったが当時の国内外の状況を想像できるようになると後から政府の意図も含めて評価できるようになる。

元々ぽつんぽつんと疎らだった点が知識が増えて密になってくるとスムーズな線になってくる。そうすると過去のことが直接的に現在につながっているような気がして歴史を学ぶのが楽しくなってくる。今の政府に直接つながる明治政府は徳川家が築いた江戸幕府の統治の基盤を受け継いだものだし江戸幕府を開いた徳川家康の将軍職は鎌倉幕府を開いた源頼朝から続くものだ。子どもの頃、江戸時代は大昔のイメージがあったが年を重ねるに連れて知識が増えたことと時間のスピードの感覚が変わったことによって今の時代のちょっと前という感覚を持つようになった。日本史で言えば資料が豊富に残っている7世紀以降は今の時代に直接つながる、そんなに昔じゃないことのように思えてくるから不思議だ。

後から理解できるようになるのであれば、まずは意味がわからなくても暗記することから始めるというのも悪くはないのかもしれない。ただ、歴史を学ぶことの本質は当然ながら暗記にあるわけではない。それは今の世の中がどのようにできてきたかを叙述する壮大な物語を知ることだ。それを味わわずにただの暗記科目ととらえるのは勿体ない。


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