小保方さんとAO入試


STAP細胞の研究チームのリーダーとして一躍時の人となった小保方晴子さんは2002年に早稲田大学にAO入試で合格している。早稲田はこの年初めて理工学部に「創成入試」なるAO入試を導入した。小保方さんは早稲田理工AOの一期生に当たる。当時、早稲田大学理工学部では、以下の4つの力を持った人材の養成を目指し、そのポテンシャルを持った人材を選抜するためにAO入試を導入するとしていた。

・論理的な分析力と構築力
・知的好奇心と本質を見抜く目
・自由な発想力と展開力
・困難を乗り越える強靱な意志

世の中の研究者のほとんどが難しいと思っていた研究を根気強く続け、数年かけて成果を出した小保方さんの話を聞くと、早稲田理工はまさに当初の狙い通りの学生を採れていたのではと思う。導入から12年で一期生が世界的な成果を出すのは出来過ぎといってもいい。

小保方さんが入学した応用化学科の当時のAO入試は、実験室にて実験を行い、レポートを作成し、その後、面接審査を受けるというものだった。手間はかかるが欲しい人材を見つけるためにはペーパー試験の結果だけ見るよりも遥かに確度が高いのではないか。

しかし、残念なことに早稲田理工学部はその後AO入試の縮小を続け、元々13学科126名の募集をしていたのが、今では、建築学科の25名のみ1学科の募集になってしまった。当初は導入12年よりもっと早くに成果を出す予定だったのだろうか?思ったより手間がかかったのだろうか?これまで自然科学系のノーベル賞を受賞した日本人はすべて国立大学の出身だ。早稲田理工学部で試みたAO入試はその状況を変えるための手段にはならなかっただろうか。

早稲田理工に限らず、折角導入した優れた入試制度を間違った軸で評価してすぐに取り止めてしまうケースはよくある。入試制度の評価はその入試で入って卒業した人が10年後、20年後、あるいはもっと後に社会で活躍したかどうかを見て初めて行うことができるものだと思う。1992年にAO入試を導入した慶應義塾大学SFC(湘南藤沢キャンパス)も最近になってようやく社会で活躍する卒業生が増えてきた。いつも言っていることだが大学の入試制度は中学生、高校生が何に時間を使うかということに大きな影響を与える大事なものだ。十分熟慮した上で導入し、時間をかけてしっかり評価をしたい。


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