FPY


IBMのノートブックPCの工場でエンジニアとして勤務しているとき、製品の品質を確認する指標としてFPY(First Pass Yield: ファーストパスイールド)の数字が重視されていた。製品を部品から組み立ててテストを行うと工程の終わりまでに一定数の不良品が出る。原因は特定部品の不良であったり、組み立てのミスであったりするのだが、多くの場合、部品を交換したり、組み立て直したりして正常の状態に戻した上で、再度テストして出荷できる状態にする。一方で大多数の製品は、最初から最後まで一度もテストでエラーにならずに出荷まで辿り着く。組み立てに投入した製品のうち、この最初から最後まで一度もエラーにならなかった製品の割合をFPYという。FPYが重視されるのは、FPYが高いとリワークの必要が少なく、生産の効率が高まるという理由もあるが、さらに重要な理由として、FPYの高さがその製品の出荷後の品質の高さに直結するということがある。生産工程のテストでエラーをほとんど出さない製品は、出荷後の初期不良がほとんどない。テストをしてから出荷するのだから少しくらいエラーが出てもそこで不良を弾けばいいという考えでは駄目で、品質をよくするためにはテストでエラーを1つも出さないという心構えが必要になる。

多くの仕事では工場における工程と同じようにアウトプットを出して、それをチェックするというプロセスがある。そのようなプロセスがあると自分がアウトプットを出した後、それをチェックしてくれる人がいると安心してしまい、自分自身でのチェックが甘くなりがちだ。厳密にチェックして完成させることは骨の折れることだし、折角自分の中で完成だと思っても、次にチェックしてくれる人が内容を変更してしまう可能性もある、それならば9割くらいの出来に留めておいて、後は次の人に任せよう、と思ってしまう。しかし、こういった仕事においてFPYの考え方はとても大事だ。チェックする人がどんなに鋭くても確率的にしかエラーは取り除けない。最終成果物の質は前段階の自分自身のアウトプットの質に比例する。その意味ではいくら後ろにチェックする人が控えている場合でも、自分自身のアウトプットの質を高める(FPYを向上させる)ための最大限の努力をしなければいけない。自分のエラーは1つもないはずだという状態にした上で次にプロセスに出す。それが最終成果物の質の高さにつながる。


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