「本質」思考


最近ビジネス本のベストセラーリストを眺めていたら10位以内に「エッセンシャル思考」と「本質思考」という、似たような名前の2冊が入っていた。他にも「0ベース思考」という本もリストに載っていて10冊中3冊が「本質」に関連しているということに興味をひかれた。いずれの本も読んでいないので内容は知らないのだが本の紹介を見るとそれぞれ「本当に重要なことを見極め、それを確実に実行する」、「現象に惑わされず、『その裏側で何が起こっているのか』『どうしてそうなるのか』というふうに、ものごとの本質に目を向けなければ(中略)スジの悪い答えにしか行きつけない」、「あらゆるバイアスから自由になり、一発で本質に切り込む思考法」といったことが書いてある。少しずつニュアンスは違うがいずれも複雑でわかりにくく見えるものについてその「本質」は何かということを考えることによって自分に本当に必要なものを選んだり問題を解決できるようになったりする、というようなことが書かれていそうだ。

人間は複雑に見えるものの本質を捉えて、よりシンプルに考えることをもともと求めているところがある。すっきりと整理して本質がわかったように感じることに(少なくとも私は)快感を覚える。複雑な動きをして惑っているかのような惑星が実は地球と同じように太陽を中心にして周っているに過ぎないとわかったときの感動はさぞ大きかったと推測する。

全くの仮説だが今「本質」思考に惹かれる人が多いのはもしかしたら身の回りに複雑な問題が多くもっと整理してシンプルに考えたいという人が増えているためかもしれない。情報の多さに疲れて「本質」とか「エッセンシャル」とか「0ベース」という言葉に惹かれるのかもしれない。

世の中のすべての現象をシンプルな法則で表そうとする物理学は「本質」思考の最先端をいっている。しかしよく考えてみればあらゆる学問は物事を整理し「本質」を知るためにある。自然科学ではそれが自明だが社会科学や人文科学も社会で起きていることや人間の考えることが要はどういうことなのかを把握するためにある。「本質」を追究する人が増えて学問に対する熱まで高まれば面白い。


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