Win, Execute, Team
Win、Execute、Team、この3つの単語は私が日本アイ・ビー・エムに勤務していた90年代後半、社内のスローガンのようなものとして掲げられていたものだ。IBMは1990年代前半に業績が急激に悪化し、倒産の危険まであったところ、CEOとして外部からルー・ガースナーが招かれ、事業や人員の大胆なリストラを断行することによってV字回復を果たした。そのガースナーがIBMで最優先すべき事項として掲げ、世界のIBMerに広めたのが先の3つの言葉だ。
当時の社内の会合で日本アイ・ビー・エムの当時の常務が、Win、Execute、Teamという3つの単語はこの順番が大事だと半ば冗談で言っていた。まずは勝て、それからやるべきことをやれ、そうすればチームはできあがる、というのだ。ガースナーはそういう意図で3つの基準を規定したわけではないと思うが、常務の理論(?)はとてもしっくりきた。チームワークをよくして、しっかりやるべきことをやって、勝つ、のではない。まずはとにかく勝つ、そして、勝つことによっていいチームを作るのだ。
今年のサッカーワールドカップの日本代表を見ていて常務の言うところのWin、Execute、Teamを思い出した。彼らもチームワークがいいからカメルーン戦に勝ったのではない。カメルーン戦に勝ったからいいチームができたのだ。4年前のワールドカップも初戦のオーストラリア戦に勝っていたらその後の展開は大きく変わっていたかもしれない。
チームワークをよくしようとするとついついお互いに傷つけるのを避けようとして本気でぶつかり合わなくなってしまう。しかし、いいチームを作るために必要なのは「仲のよさ」ではなく、一緒に何かを成し遂げた経験なのではないかと思う。いいチームは作ろうとしてできるのではなく、一緒に壁を乗り越えることによってできるものだ。お互い遠慮しあったり、傷を舐め合ったりしているような生ぬるいチームワークでは勝負に勝てない。まずは各自が我儘を言ってもいいからとにかく勝つ(あるいは結果を出す)ことが大事なのではないか。
一方で勝っているチームのチームワークがよくない例もある。つまり勝つことはいいチームを作るための必要条件かもしれないが十分条件ではない。勝っていいチームを作り、さらに勝つことでよりチームを強固にしていく。その循環が大事なのではないかと思う。
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洋々代表。日本アイ・ビー・エム株式会社にて、海外のエンジニアに対する技術支援を行う。その後、eラーニングを中心とした教材開発に、コンテンツ・システムの両面から携わる。 東京大学工学部電子情報工学科卒。ロンドンビジネススクール経営学修士(MBA)。