Made in Japan


企業がグローバルに営業活動を行うときその企業の国籍はブランドイメージに大きく影響する。フェラーリ、フェラガモ、ベネトンといったブランドが醸し出す華やかでセクシーなイタリアのイメージは、たとえばアリタリア航空のような全く別のイタリアの企業にまで影響している。マクドナルド、コカコーラ、ディズニーランド、スターバックスといったブランドが作りだす明るくて楽しそうな感じのアメリカのイメージも他のもっと真面目な感じのアメリカの企業にも少なからず影響している。日本の企業についてもMade in Japanというだけで品質が高くクールな雰囲気を醸し出す。もちろん昔からそうだったわけでなく、1950年代のMade in Japanはまだまだ安かろう、悪かろうの代名詞だった。それが、特に自動車や家電など一般消費者対象の製品で評判を上げ、徐々に高品質でクールなブランドイメージを作り上げてきた。

今では、日本より低いコストで製造できる国がたくさんあるので日本企業による製品でもMade in Japanでないものの割合がかなり高くなっている。しかし、実際に日本で製造されていないものでも、日本企業のブランドには、Made in Japanの高品質なイメージがついて回る。そういう意味では、各企業が努力することはもちろん大事だが、日本の企業としてのブランドを守ることも今後、海外の消費者にアピールしていくときには大事である。プリウスのような車が日本の企業から出てくることは、トヨタだけでなく、他の日本の企業にとっても日本のブランドを高めるために歓迎すべきことだ。フェラーリを作る必要はなかったし、メルセデスを作る必要もなかったが、プリウスのような車は日本から出したい。

今でも惜しいと思うのは、アップル社のiPod、iPhone、iPadをソニーが出せなかったこと。ソニーは、創業以来、トランジスタラジオやウォークマンなど、シンプルな機能に絞ったクールな製品を数多く作ってきた。さらにかなり早い段階からハードとソフトの融合を掲げ、80年代後半には、レコード会社や映画会社を買収した。製品のデザイン性も重視しており、iPod/iTunesはまさにソニーが出すべき商品だったのではないか。

iRobot社の自動掃除機ルンバもパナソニックでも東芝でも日本の企業に出してもらいたかった。いかにも日本製のガジェットっぽい商品で、Made in Japanのクールなイメージを高めるにはもってこいだった。

今後は、過去に囚われず、新たなMade in Japanのイメージを創る、というのももちろん悪くないし、すばらしいことだと思う。しかし、企業の戦略と一緒で、自らの強みを活かして、そこを伸ばす方が世界に通用するブランドに育てやすい。トヨタのリコールやソニーの個人情報流出などで、Made in Japanも盤石ではなくなっているが、今まで長い時間かけて築いてきたクールで高品質なイメージを今後も大事にしていきたい。


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