新しい学びの形


私が大学受験を経験してからもう20年ほど経つが当時からセンター試験や一般入試の学科試験の内容はあまり変わっていない。出題範囲が多少変わったところはあるものの、現代を扱う社会科目の一部を除けば、問われていることはほとんど変わっていない。今、20年前の入試問題を出題しても違和感はないはずだ。出題内容が大きく変わっていないことに対してとやかく言うつもりはない。大学入試で出題される範囲は、学問のごく基本的な部分であり、そうそう変わるものではない。新たな遺跡の発掘によって歴史の認識が変わったり、素粒子についての新しい理論により物質の捉え方が変わったりすることはあるだろうが、科目全体に影響するような発見や新理論は滅多にない。アインシュタインの相対性理論は物理学の根本を変えるような理論であったが、それでさえ、高校物理の範囲にはあまり影響を与えていない。

出題内容が変わっていないのはよいのだが、問題だと思うのは、受験生のレベルが20年前と比べてあまり変わっていないということだ。むしろ学力が下がっているとさえ言われている。20年間、世の中の数多くの教師・講師が教え方やモチベーションの高め方にいろいろな工夫をしてきた。教材制作に関わる人はよりわかりやすい教材作成に力をいれてきた。塾や予備校もビデオ配信を増やしたり、個別指導を増やしたり、この20年で様々な試みをしてきた。しかし、高校卒業時の学力という結果で見るとこういった工夫や努力は全く結果に結びついていない。

ニューズコーポレーションを所有するメディア王ルパート・マードック氏は、教育は” last holdout from the digital revolution”で、” today’s classroom looks almost exactly the same as it did in the Victorian age”と言っている。つまり、今の教育の形は、ヴィクトリア朝時代(1837~1901)とほとんど全く一緒で、教育はディジタル革命から取り残された最後のものだということだ。

教育を大きく変えるのにITが必須と言うわけではないが、iPadなど最近の進化したポータブルデバイスや高速のネットワーク環境には教育を大きく変えるポテンシャルがある。しかし、ポテンシャルがあってもそれを活かすのはそれほど簡単ではない。実際、90年代にはすでにコンピュータを使った教育が注目を集めていて、多くの企業がITを使った教育の提供に取り組んできたが、今に至るまで、初等教育・中等教育にインパクトを与えるようなコンテンツは出ていない。また、ほとんどの大企業でeラーニングが導入されていて、管理の効率化には一定の効果を上げているが、学習効果の向上にはあまり結びついていない。

マードック氏は、教育テクノロジー事業を強化することを明言しているし、アップル社のようなIT企業の多くが教育の分野に注目している。今後、学習の形が大きく変わっていくことは間違いないだろう。ニューズコーポレーションやアップルのような巨人たちが注目し、動こうとする中で、無謀と思われるかもしれないが、洋々もそこにチャレンジする。ヴィクトリア朝時代から変わっていないことを変えることにも、学習の形を変えることによってより多くの人が自分の能力を最大限に引き出せるように貢献することにも、大きなやりがいを感じる。洋々が付加価値を出せる部分を見極めて、やるべきことを着々と実行することにより、学習の効果を飛躍的に高めることに少しでも貢献したい。


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