大相撲独特のフェアネス


大相撲の夏場所は決定戦の末、大関照ノ富士の優勝で終わったが、決定戦にまでもつれこんだのは照ノ富士が今日の本割での負け以外にも昨日までに2敗していたからだ。その2敗はいずれも物言いがついた取り組みで、いずれも軍配が照ノ富士に上がった後に、それぞれ反則、行司差し違えで負けになっている。11日目のまげをつかんでの反則、14日目のほぼ同体の遠藤戦での行司差し違えの判断を下した審判部長は照ノ富士の師匠である伊勢ケ浜親方だ。自分の弟子に対しても公平な判定をしようとするどころか、むしろ、自分の弟子だからこそ厳しめの判定をしている感さえある。他のプロスポーツでチームの監督やコーチが審判を務めるケースはまずないし、自分のチームに不利な判定には猛烈に抗議し、有利な誤審には気づいても黙って見過ごすのが普通だ。

大相撲には他にもプロスポーツの常識とは大きく異なる運営をしているところがいろいろある。対戦相手が審判部で行う取組編成会議によって恣意的に決まるのもその一つだ。同じ幕内でも番付下位の力士は上位の力士と当たることはあまりない。今場所好調で優勝争いに絡んだ遠藤は11日目で勝ち越しを決めるまで大関はもちろん前頭5枚目以上の力士とは一度も当たっていない。星の差1つで優勝まで後一歩のところまで迫ったが、照ノ富士が関脇、小結をはじめとする上位陣とばかり当たってきたことを考えると星の差以上の実力の差がありそうだ。対戦相手が全く異なるのに優勝は勝ち数で決まる。他のプロスポーツで行えば不公平だという批判を受けるだろう。

審判にしても取組の編成にしても公平性の観点からは疑問が残るが、興行としては成り立っているし見る方にもそれなりの納得感はある。各部屋というよりは大相撲全体が1つのチームという感じで運営しているから成り立つ仕組みなのかもしれない。ただ、そのような仕組みは下手をすれば隠蔽体質や八百長にもつながりかねない危うい側面を持っている。不祥事やモラル違反が起きると、公平性や透明性を求める声が大きくなり、行事や審判を独立性の高い人に任せる、取組を明確なルールに沿って決める、等、他のスポーツと同じような方法を取らざるを得なくなるかもしれない。できれば西洋のスポーツとは異なる価値観を持つ今の大相撲を今後も末永く楽しめるとよいのだけど。


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