漸進的ゼロ・トゥ・ワン


オンライン決済サービスを提供するペイパルは90年代後半に創られた企業だが、その初期メンバーには後にテスラを創業したイーロン・マスク氏やユーチューブの創業メンバーが含まれており、彼らはペイパルマフィアと呼ばれる。そのペイパルマフィアのボスがペイパルでCEOを務めていたピーター・ティール氏だ。投資家としてFacebookを始めとする名だたる企業に投資してきたティール氏は、全く新しい何かを始めることが大切と説く。グーグル社の検索エンジンやアップル社のスマートフォンのようにこれまでの延長ではなく、ゼロから1を生み出すことが大事だと言う。確かにグーグルやアップルはそのような突き抜けた技術で独占的な地位を築いてきたように見える。投資家の立場からしたら競争の激しい環境に向かうのではなく、圧倒的な地位を築いて時価総額を高めていってほしいというのはあるだろう。

事業を営むからには他とは全く違う技術で圧倒したい。ダントツでいいサービスを提供したい。ただ、ゼロから1を生み出したように見える製品やサービスも実は漸進的な改善の積み重ねの結果であることが多い。Webの検索はグーグルが始めたわけではないし、グーグルのシェアが初めから高かったわけではない。もちろん最初の着想がよかったというのはあるが今の地位を築いたのは様々な問題を一つずつ克服し、機能を少しずつ改善した結果だろう。アップルのiPhoneも突然出てきたわけではなく、音楽プレイヤーであるiPodの延長で発売されたものだ。初めに出てきたときは電話をかけられるiPodという感じだった。アップルが電話を出すということでもちろん大きな話題にはなったがWindows Mobileの入った端末もそれなりに普及していたのでゼロから1という印象はなかった。iPodの開発販売を通して積み重ねた改善や成功体験なしにiPhoneの登場はなかっただろう。

そう考えるとゼロから1を生み出すのは結果であって、やはり漸進的な改善な積み重ねが大切であるように思う。初めの発想ももちろん重要だが、それだけで決まるわけではない。突き抜けるためには、最初の地位よりもその後の方向性と改善のスピードが大事になる。


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