教育におけるICTの活用


文部科学省の進めるGIGAスクール構想やコロナ禍の影響で教育の現場でのICT機器の利用が進んでいる。文科省が先月発表した資料によれば小中高の児童生徒1人あたりの学習者用コンピュータ台数は1人あたり1.1台になり普通教室における無線LANの整備率は96%まで進んでいる。文科省はGIGAスクール構想で「我が国の教育実践と最先端のICTのベストミックスを図ることにより、教師・児童生徒の力を最大限に引き出す」ことを掲げ、ICTの活用の例としてインターネットを活用した調べ学習や写真・音声・動画等を用いた多様な資料・作品の制作等を挙げている。

1人1台の端末が整備されることによって長期的には教員の負担は減るだろう。一定程度のスキルは求められるがテストの作成や採点、成績の管理、児童生徒への連絡、等は紙ベースで行うよりはるかに効率的にできそうだ。一方で児童生徒の学び、という面ではどうなのだろうか?デジタル機器を使いこなす、という意味では効果がありそうだ。文科省が活用例として挙げているようなインターネットを使った調べ物や画像や動画の編集はお手の物になるだろう。ただ、より重要な知性の育み、という意味ではどうなのだろう?デジタルネイティブな子どもたちは考える力も身につけられるのだろうか?

教育のデジタル化で先行していたスウェーデンでは学力低下の懸念からアナログの教育へ回帰する政策を実施していると聞く。自分が古い教育を受けてきた世代だからかもしれないが直観的にはタブレット端末より紙と鉛筆を使った学びの方が脳に残る学習ができるように思う。わからないことが次々に絵や映像で出てきて知ったような気になるよりも言葉で説明を受けてわからないなりに自分の想像力を働かせて自分のイメージを持つことの方が大事なこともある。学習という意味では簡単に調べたり作ったりできるよりもそういったことに苦労した方がよいこともある。

AIの急速な進化によって教育の場でのテクノロジーの活用の可能性はさらに広がりつつある。「教育」に導入するとなるとどうしても管理者の視点での活用に目が向きがちだが、学習者の視点、かつ、いかに知性を育むか、という観点での活用を目指したい。また、積極的に活用する方法を探りつつも、常にその効果を批判的に見る目も持っていたい。


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