洋々では2006年からAO入試の準備のサポートをしているので始めてから18年くらい経つことになる。ここまで事業を継続できているのは能力の高い方々が講師やスタッフとして力を貸してくださってきたことが大きいし、大学受験において総合型選抜や推薦入試の重要性が高まってきたこともある。他にも洋々にとって有難く幸運な要素がたくさんあったが意外と以下のような要素も重要だったように思う。

1つは大学がよいと思う書類（主に志望理由書や自己推薦書）と我々がよいと思う書類が概ね一致していることである。これは当たり前のようでいて必然ではない。洋々の創業メンバーにアカデミックな背景を持つ者はおらず大学の先生方がよいと思う書類を我々がそうでもないと思うような可能性も十分あった。もちろん完全に考え方が一致するわけではないし、大学学部ごとの傾向の違いもあるので、毎年の合否の結果を見ながらこちら側の評価軸を微修正してきて今に至る。なので多少は大学側に寄せている部分はあるが、それでも、本当は全然よくない書類だと思うけれどこうするとこの大学学部の先生方は喜ぶからこう変えよう、みたいなことは一切ない。もし自分たちはよくないと思う書類を合格のためだけに作成する羽目に陥っていたらここまで受講生のサポートを続けるモチベーションは続いていなかっただろう。

もう1つは我々がよいと思う書類（≒大学に合格できる書類）の作成が簡単ではないことである。テンプレートのようなものを用意してそれに沿って書くようにしたら効率的に作成できるのではないか、と考えたこともなくはないが、自分らしさが最も重要な書類づくりにおいて型に当てはめるようなやり方はそぐわない。18年間よりよいサポートの形を探って毎年のように講座の形を少しずつ変えてきてはいるが1対1での議論を通して時間をかけて内容を深めていく、という本質の部分は変わっていない。もし高校の先生が片手間にアドバイスして済むようなものであったり、ChatGPTを使って作成できるようなものであったら洋々は存続していない。難しいからこそサポートする側もやりがいを感じるし本気で取り組むことができる。

よいと思うことができる、簡単ではないことに取り組める、という2つのシンプルなことはこれまで高いモチベーションを持って続ける上で大事だったと感じるし、これからもっといい形を探っていきたいという意欲にもつながっている。