自己アピール
大学受験の総合型選抜(AO入試)や推薦入試では就活と同じように自己アピールが求められることがある。自由記述的な書類として求められることもあれば面接の場で口頭で伝えるよう求められることもある。
自己アピールと言われるとまず思いつくのは自分の長所を伝えることだ。自分にはリーダーシップがあります、行動力があります、コミュニケーション能力が高いです、そういった類だ。○○力があることをアピールすることは悪いことではないのだが、○○力があります、と言ったときに、この人は○○力があるんだ、とそのまま受け取ってもらえることはほとんどない。言うことだけなら誰でもできるので、読む方、聞く方も半信半疑にならざるを得ない。特に書類の場合は審査官が○○力がありますというアピールを大量に読むのでほとんど響かないことが予想される。行動力があります、とアピールする人の中には、クラスの中で先生がプリントを配布するのを手伝ったことを理由にする人もいれば、貧困国の子どもをサポートするためにアフリカを訪れたことを根拠にする人もいる。同じ「行動力」アピールだけだと後者の人は勿体ない。○○力がある、というよりも、アフリカでの活動自体をアピールし、行動力があるかどうかは読み手の判断に任せる方が得策だ。抽象度が高い言葉を使うよりも自分のこれまでやってきたことを具体的に伝える方がアピールにつながることが多い。
どの長所を伝えるか、ということもよく考える必要がある。たとえば運動能力が高い、という長所はスポーツ系の学部では高い評価を受けるかもしれないが、その他の学部ではそれ自体が評価される可能性は低い。志望する大学学部に対して一番効きそうな自分の強みを考える必要がある。
アピールになるのは自分の強みだけではない。自分がいかにその大学学部での学びを必要としているか、ということもアピールになる。大学側はその大学での学びをより効果的に活用してくれる人に来てもらいたいと考えているはずだ。今なぜその大学学部を志望していて、その大学学部の環境をどのように活用しようと考えているか。説得力を持って説明できればそれは大いに自己アピールにつながる。
まずはこれまで自分がやってきたこと、考えてきたことを伝えることでその大学学部が評価しそうな自分の長所(強み)をアピールする(ただし、自分で安易に○○力というようにまとめるのでなく、事実を通して訴える)。その上で、なぜ今その大学学部を志望していて入学したら何をどのように学ぼうと持っているのかを伝えて、自分にとっていかにそこでの学びが必要なのかをアピールする。万能な自己アピールがあるわけではなく、その大学学部にあった内容が求められることに留意したい。
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洋々代表。日本アイ・ビー・エム株式会社にて、海外のエンジニアに対する技術支援を行う。その後、eラーニングを中心とした教材開発に、コンテンツ・システムの両面から携わる。 東京大学工学部電子情報工学科卒。ロンドンビジネススクール経営学修士(MBA)。