覚えるべきか、覚えないべきか、それが問題だ


著名人のプレゼンテーション配信で有名な「TED」の代表者であるクリス・アンダーソン氏はTEDオフィシャルガイドとしてプレゼンの指南本のようなものを出している。そこにはプレゼンの成功のための秘訣のようなものが書かれていてとても興味深いのだが、その中に「To Memorize or Not to Memorize」という章があり20ページ近くが割かれている。プレゼンを実施する際に台本を一字一句覚えておくべきか、覚えずに即興で行うべきか、という命題だ。プレゼンの名手たちの間でもどちらがいいかの意見は大きく割れるらしい。台本を覚えておく形であれば与えられた時間を最も効果的に使い切ることができるというメリットがあるが、新鮮みがなく、真の共感を得られにくい。一方で台本を覚えずに即興で行うとプレゼンターの熱意や真情が伝わりやすくなるが、ところどころ辿辿しくなって伝えるべきことをすべて伝えきれなくなるリスクがある。

面接でも同じことが問題になる。面接は相手の質問に答える必要があるので元々すべてを想定通りに進めることはできないがありがちな質問について文章を作って覚えておくことはできる。たとえば大学受験の面接では志望理由を聞かれることが多いが志望理由として言うべきことを文章化して何度も推敲した上で覚えておけば、最も洗練された形で伝えることができる。しかし、覚えていることを口に出しているだけのような感じになるとなかなか本気度が伝わらない。自身で流れを完全に決められるプレゼンにおいても自然さのようなものが求められるが、コミュニケーションが重要な面接においてはそれにも増してその人がその場で考えている感じが重要になる。

アンダーソン氏は覚える、覚えない、は自信を持ってできる方を選べばいいと言いつつも「覚える派」も「覚えない派」も結局同じところに向かうと結論付けている。「覚える派」はすべて覚えた上で、まるでその場で考えて話しているように見せることが大事だし、「覚えない派」は覚えずに話していても、覚えているのと同じくらい内容を洗練させていく必要がある。面接においても全く準備をせずに言うべきことを伝えられないのは問題外だし、一方で丸暗記したことを話して本気度が疑われるのは勿体ない。目指すべきは十分に準備をした上で、かつ、そうは見えない受け答えだ。すべて覚えた上で覚えていないかのように自然に話せるようにするか、覚えずに臨みつつも覚えたのと同じくらい整理された受け答えができるようにするか、いずれも入念な準備が必要だが、行き着くところは同じになる。


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