新しい名前


米グーグル社が電撃的に持ち株会社アルファベットの設立を発表してから2ヶ月経つが未だに「グーグルの持ち株会社」という枕詞がないと何の会社なのかすぐには思いだせない。グーグルの親会社の名前を述べよ、というようにテストされたらおそらく思いだせるが「アルファベット」という名前はまだ自分の頭の中ですっきりとは収まっていない。今までのグーグル社の大きな部分をアルファベットA-ZのGに過ぎないものにしてしまうというのは、これだけ巨大な企業になった今でも、さらなる成長を目指してリスクを取って挑戦する姿勢を示していて尊敬に値するが、名前に慣れるまでまだ少し時間がかかりそうだ。

会社名の変更以外でも、結婚して姓が変わるとき、相撲取りの四股名が変わるとき、歌舞伎役者や落語家が襲名するとき、スポーツのチーム名が変わるとき、町名が変わるとき、学校名が変わるとき、今まで慣れ親しんできた名前が急に変わることは珍しいことではないが、いずれの場合もしばらくはそれまで使っていた古い名前の方がしっくりきて、新しい名前には何となく違和感を覚える。

ただ、初め感じていた違和感も時間が経つにつれてだんだん薄れていく。今までに聞いたことのないような音楽でも何度も聞くうちに自分の脳の中に浸透する感じがしてくるのと同じように、繰り返し新しい名前を聞くとだんだん身近に感じるようになる。それと同時に新しい名前が対象の人やものと次第に結びついていく。そうこうしているうちにどこかで新しい名前への親しみ深さが古い名前へのそれを逆転する。国鉄が民営化されてJRになったとき、しばらくは「JR」という名前が不自然な感じがして慣れるまで時間がかかったのを覚えているが、数年のうちに「JR」の方が自然になり、むしろ「国鉄」の方が古くておかしな言葉のように感じるようになった。

人やものの名前は脳の中でその人やものそれ自体と深く結びつき切り離しがたい。そこを強制的に剥がして新しい名前をつけようとすると拒絶反応が起きる。今まで付いていた名前を捨てて新しい名前を付けることはリスクも大きい。元々の名前を大事に維持していった方がいい場合も多いだろう。「アルファベット」もうまく浸透するとは限らず、やっぱりやめた、ということになる可能性もある。しかし、新しい名前には違和感がある一方でわくわく感もある。今まで親しんでいなかった名前が脳の中で浸透していくということは自分の世界が新たに広がることでもある。「アルファベット」がグーグル並みに浸透したらそれはまた違う景色になる。


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洋々代表。日本アイ・ビー・エム株式会社にて、海外のエンジニアに対する技術支援を行う。その後、eラーニングを中心とした教材開発に、コンテンツ・システムの両面から携わる。 東京大学工学部電子情報工学科卒。ロンドンビジネススクール経営学修士(MBA)。