マッチングという意味での入試の意義


スイスの大学では入学試験がなく行きたい大学に行ける、とスイス在住の友人から聞いたことがある。大学によってレベルの高い低いはあるが皆がレベルの高いところに行きたがるのではなく自分に合ったところを目指す、レベルの高いところは大学での学業についていくのが大変なのでself-selectionによって大体は自分のレベルに合った進学先を選んでいる、という。スイスにも名門と呼ばれ世界的にも名の通った大学があるがそういうところでも選抜を行わずに入学希望者が一定の人数に収まっているそうだ。

日本の大学受験の競争を見ているとそんなことが可能なのかと思ってしまうが、すべての大学が一定の教育の質を保ち、かつ、各大学で学生に求める水準を妥協しなければ実現できるのかもしれない。世の中に種々の山があってそれぞれ登るのに資格がいるわけではなくても自分のレベルに合った山を選ぶようなものだろうか。登るのを禁止されていないからといってエベレストに登ろうとする人は滅多にいない。それぞれが自分で自分の実力を見極めて進学先を決め、基本的に行きたいところに行ける、ということが実現できれば学生、大学、ともにメリットがありそうだ。

ただ、身分不相応の登山者はゼロではない。無謀な登山者は一定数存在する。スイスの大学でも無謀な挑戦者はいるだろう。学力が足りない状態で高いレベルの大学に入学することは学びが自分のものにならず落第の可能性も高く本人にとってデメリットが大きい。そういう意味では自己責任、自己判断で本人にリスクを負わせるのではなく、入試を実施してその大学とのマッチングをチェックすることは親切であるとも言える。

可能であれば学力のレベルだけでなく、その大学あるいは学部に合っていることも確認できるとなおよい。学力面のみのマッチングだと、たとえば、医者に向いているかどうか関係なく偏差値が高いから医学部を目指す人が出てくる。そう考えると学力以外の能力面や性格を踏まえて、その大学学部に合っているかどうかを評価する総合型選抜は入試の形としてとても親切な設計になっている。


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