指摘の抽象度と価値


総合型選抜の受験生は数カ月かけて書類を作成することが多いが書き始めの頃は自分の問題意識が曖昧だったり、やりたいことがよくわからなかったりで、文章を書いてみても筋が通っていない書類になりがちだ。そもそも最初の頃は文章の形にならないことも多い。2000字書くことが求められているのに500字書くのがやっとということもある。そういった状態の受講生のサポートをする場合、文章に対して指摘をするというよりはブレインストーミング的な議論をすることが多い。そもそも材料がなくて書けない場合はブレストに加えて、宿題としてネットで調べたり、本を読んだりしてもらって語れることを増やしていく。この時点ではサポートする人の指示や指摘は抽象的でざっくりしたものになりがちだ。最初から具体的すぎる指摘だとサポートする人の意図通りに方向性が決まってしまう。どちらかというと発散する方向で、ある程度テキトーにいろいろな可能性を探っていく。全然進まないこともあれば行ったり来たりすることもある。受講生側からすると不安が募ることもあるが必要なプロセスだと考えている。

材料が集まってきて書けることが増えてくると今度は字数が足りなくなる。2000字しか書けない書類に対して4000字とか5000字とかの文章を作成してくる人もいる。今度は発散から収束の方向に転換する。優先度の低い記述を削ったり、文章の抽象度を上げたりしながら、書くべき内容を絞っていく。

ある程度文章が練られてきて字数的にも制限を少し上回る程度になってきたら最終化を目指す。洋々でもファイナライズというプロセスがあるがそこでは表現方法について具体的な改善案を提示する。10%~20%くらい規定の字数をオーバーしているくらいがファイナライズするのにちょうどいい。

受講生が最も苦しいのは最初の段階だ。あれこれ考えるのは楽しいこともあるがなかなか進まないこともよくあるし、指導する側の指摘も抽象的なことが多い。全然進まない、もっと具体的なアドバイスがほしい、と言われることもある。ただ、文章が形になってくるにつれて指摘も具体的になっていく。ファイナライズでは具体的な指摘しかないことがほとんどだ。受講生側からしたら具体的な指摘の方が有効なように思うかもしれないが、合否への影響という面から考えると抽象度の高い指摘の方が価値が高い面もある。最後のところでよりよい表現につながる具体的な指摘を受けるとその効果を実感しやすいが全体の大きな流れを変えるほどのインパクトはない。進む方向もよくわからない中で得た抽象度の高い指摘を自分でよく考えて活かしていくことが書類の最終的な出来栄えに大きく影響する。


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