見返り


ビジネスの世界では投資をしたら収益を上げることが求められる。なので企業が見返りが期待できない投資をすることは基本的にはない。動画配信が初めの1か月無料で見られたり、クレジットカードの年会費が初年度無料だったり、新商品が無料で配布されたりすることに利他的な意図があるわけもなく、一定数の人がそのまま正規会員になったり、商品を定期的に購入するようになることで、無料にしたことでかかる費用を回収して余りある収入を得られることを確信しての施策だろう。

一方で個人で考えると企業の活動の中でも見返りを求めない行動をする人は少なくない。人に笑顔で接したり、気持ちのよい挨拶をしたり、困っている人に手を差し伸べたりするのは企業の利益を考えてのことばかりではないだろう。ちょっとした親切は相手からの見返りを求めてのことではなく、自分がそうしたいと思うからする。情けは人のためならず。

企業から離れるとなおさらのこと、見返りを求めずに相手のためにすることが増える。勤務時間においては見返りを求めないとしても企業にメリットがないことは基本的にできないが自分の自由時間であれば見返りがあるかどうかは関係ない。

人のためにいろいろやっても報われるとは限らない。エレベーターで「開」ボタンを押したまま先に降りてもらっても会釈もせずに出ていく人もいる。お礼という見返り(それがちょっとした会釈だったとしても)を求めるとちょっとがっかりした気分になる。でもよく考えてみれば人の役に立つこと、貢献すること自体が喜びだ。人の役に立つのは簡単なことではない。

見返りがあればそれは素直に受け取ればいいけれど、なくたって構わない。営利企業では利益を積み重ねていくことが求められるが人生においては持ち出しが多くても問題はない。むしろ人生を振り返ったときにもらったものよりも与えたものの方が大きいと思える方がいい。見返りとは関係なく、できることを考えていきたい。

「あんなにしてやったのに 『のに』がつくとぐちが出る」相田みつを


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